第一部
第三章
第二十五話『神をも砕くだろう』
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特異点となったんだ。だからね…」
亮は勿体を付けた。
亮 「宇宙が刷新されて尚、その子は時空の狭間に連なって存在しているんだよ。」
翠 「ンッ!」
翠は明らかに動揺してしまった。仮定する話とあまりにも辻褄が合ってしまうからだ。それでも翠は崩れず、矢を亮に定め続けた。翠の心の中にいる陽子が猜疑心として仁王立ちし、亮の言葉から彼女を護っていたのだ。
亮は翠の動揺に満足げに口角を上げた。
亮 「でもそうなると問題はその親友の方になってしまった。だってそうだろう、魔法少女の成れの果てが魔女なんだからね。より強力な魔法少女はより強力な魔女になる。その親友はこの星を滅ぼしてしまうほどの魔女の素になってしまったのさ。そこで彼女は方針を変え、親友が魔法少女にならない道を探し始めた。全ての魔女を自分一人で倒そうと頑張った。ワルプルギスの夜を、たった一人で倒そうとするようになったんだ。」
そして亮はその反応を確かめるように翠の方を見て言った。
亮 「いつかの誰かさんのようにね…」
翠はかなり険しげな顔をし、その心中が穏やかでない事を告げてはいたが、依然としてしっかりと矢を亮に定め続けていた。
亮 「更にそれからは彼女にとってより険しい茨の道だった。もうその親友との交流も諦め、嫌われようが恨まれようがなりふり構わず目的を遂げようと画策した。時には人を殺め時には嘘を吐き己の手を汚すことを厭わず、嫌われ疎んじられ孤独の中に叩き込まれるような時間を何度も繰り返し、たった一つの光明を求め彷徨い続けたんだ。これって凄い事だよね、翠。だってそうだろ、元々その親友との友情を求めて魔法少女になったのに、本末転倒にもその友情を犠牲にしてまでその子の為に自分を捧げ切ったんだぜ。どこかの誰かさんみたいに憧れた先輩に気を取られて、大事な友達をお座成りにするのとは大違いだよな。そのお友達は君の為に命を投げ打ってくれた程だったというのにねぇ…」
翠 「貴様…」
翠の心に怒りが走った。その感情は番えた矢の青白い光輪を一瞬赤く染め大きく揺らがせた。亮は酷く満足した。
亮 「そしてある時、彼女は気付いた。自分が時間を繰り返したが為に親友が因果の特異点となってしまった事に。自分の行いが出口のない迷宮を作り出してしまった事にね。絶望し全てを諦めかけた彼女だったが、その許に親友は現れた。そしてその親友はインキュベーターに願った、自らの存在を捧げて宇宙の法則と化し、呪われた世界を書き換えて彼女をその迷宮から救い出したんだ。」
だがこの時点ではまだ翠にも余裕があった。
翠 「フッ、何それ。あなたは前の神って言いましたよね。だったら前の呪われた世界って、あなたが神だった世界なんでしょ。それって呪われた世界しか創れなかった劣った神が、より優れた神に取って代わられたって
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