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SECOND
第一部
第三章
第二十五話『神をも砕くだろう』
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 「…」
亮  「その子に守られる自分ではなく、その子を守る自分になりたいと。そしてその子と出会い直したいと。するとその願いは成就され、彼女は時を操る魔法少女として過去に戻ったんだ。丁度自分が見滝原に転校する日にね。」
 亮は翠を確かめるように見た。翠は相変わらず弓を構えて亮を見定めてたが、その話を遮る意思は感じられなかった。
亮  「そして彼女は親友と出会い直し、共に魔法少女として戦った。幾度となくワルプルギスの夜に挑み、失敗する度に時間を遡りやりなおした。でもそれは彼女にとっては全く苦ではなく、むしろ友と共闘出来た掛け替えのない充実した日々となった。そして幾度もの挑戦の末、見事ワルプルギスの夜を倒したんだ。でもそこで大きな問題に遭った。親友が魔力を使い果たしそのソウルジェムが真っ黒に染まると、なんと親友は魔女になってしまったんだ。」
 翠はそれがまどかから聞いた話と符合するとは思った。ただこの時点では陽子からの忠告も効いていて、ひょっとするとまどかと亮は裏で繋がっていて、二人が結託して自分を陥れようとしているのではないかという疑念があった。
亮  「彼女は慌てて時を戻したよ。そして今度は他の魔法少女達にその忌むべき事実を伝えたんだ。でも結局、他の子は誰もその事実を受け入れられなかった。最初は信じず、本当だと分かれば絶望し自暴自棄に殺し合った。それでもその二人はまたワルプルギスの夜に立ち向かっていった。二人はなんとか勝利する事が出来た。でも今度は二人ともソウルジェムを漆黒に染め上げてしまったんだ。彼女は親友に向かって共に魔女になってこんな世界壊してしまおうかなんて言ったさ。でもその親友はソウルジェムの濁りを取ってくれるグリーフシードという物を隠し持っていてね、それで彼女のソウルジェムを復活させ希望を託したんだ。時間遡行能力を持つ彼女になら、このような結末にならない方法を選べることを期待してね。そしてその親友は最後にもう一つ彼女にお願いをしたんだ。自分は呪われた魔女になんてなりたくないから、その前に彼女に自分を殺してくれってね。」
翠  「…」
亮  「そしてそれからこそが彼女の本当の試練だった。彼女はその時間遡行能力を駆使し、親友が死なない未来を求めて彷徨った。するとある時点から大きな変化が現れ出した。何度も同じ時間を繰り返す内に、その親友はとても強力な魔法少女になるようになって行った。仕舞いにはたった一撃でワルプルギスの夜を撃破するようにまでなっていたよ。翠、どうしてそうなったと思う?」
 翠は突然の質問に内心意表を突かれたが、表面上は微動だにしなかった。ただ矢の先端に冠した光輪が僅かに揺らぎ、動揺を忍ばせた。
亮  「それはね、その子を中心に同じ時間が繰り返されたからさ。その親友に因果の糸が幾重にも巻き付けられ、その結果その子は因果の
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