第一部
第三章
第二十五話『神をも砕くだろう』
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「あなたは何者なの。」
亮 「何だよ、陽子から聞いていないの?前の神様だよ。」
翠 「…。」
翠は亮の言う事を真に受けるつもりはなかった。しかし嘘が混ざっていたとしても多くの質問をすることで何かが得られるのではないかと期待した。
翠 「なぜ陽子にあんな願いをさせたの。」
亮 「一応最初に言っとくけど、彼女に強要はしていないからね。特に理由はないよ。もし敢えて挙げるならタイミングと可能性かな。でも彼女でなければならない理由は本当にないんだよ。」
翠 「あなたの目的は何。」
亮 「僕の目的ねえ…ところで、その弓を下ろしてはくれないかな。どうも落ち着かないんでね。」
だが亮の要請に、翠は微動だにせず弓を番えたまま無言を返すのみだった
亮 「やれやれ、君も不信心者だね…」
亮は考え込むように額に手を当てた。
亮 「その昔、ある所に一人の少女がおりました…」
翠 「ふざけないで。」
翠は弓を大きく引き亮を威嚇した。しかし亮はそれに構わず涼しい顔で続けた。
亮 「その少女は心臓に重い障害を持っていました。その為、殆ど学校にも行けず人生の大半の時間を病院のベッドの上で過ごしていました。」
翠は敢えて話をさせる事にした。
亮 「その子が中学二年の春、小康状態となって久し振りの登校が許された。ただ元々通っていたミッション系の学校は退校扱いにされてしまっていたので、私立見滝原中学校に編入させてもらう事となった。」
翠 「…」
亮 「その少女には友達はいなかった。いや、出来なかった。作りようがなかった。いつ死んでしまうかも知れず、勉強も運動も出来ず、未来への夢も希望も持てはしなかった。そんな彼女がある日、絶望にくれながら学校からの帰り道を歩いていると、魔女が襲って来たんだ。」
翠 「ん…」
翠は魔女という言葉に反応し、僅かに顎を引き険しげな表情をした。
亮 「彼女は恐怖した、でも何も出来なかった。しかしそこに颯爽と助けが現れた、二人の魔法少女がね。」
翠 「…」
亮 「その魔法少女の一人はね、なんと彼女のクラスメイトだったんだ。その少女は喜んだよ、だって秘密を共有する事でそのクラスメイトと友達になれたのだから。生まれて初めて出来た、たった一人のお友達。彼女にとっての唯一無二の大親友さ。でもそんな素敵なお友達とも、すぐにお別れしなければならない事となってしまった。ワルプルギスの夜が現れたからね。」
翠 「!」
翠は顔を上げ、目を見張った。ワルプルギスの夜とはかつてマミがほむらに尋ねた言葉だった。なぜかそれをすぐに思い出したのだ。
亮 「ワルプルギスの夜は強大な魔女だった。二人の魔法少女は敗れ、その場にいたその少女は親友の亡骸に涙した。そして願った、インキュベーターに。」
翠
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