第一部
第三章
第二十五話『神をも砕くだろう』
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足元の塔が粉砕するまでの蹴り足で宙へと跳び上がった。翠は音速に近い初速で飛び立ち、瞬く間に魔獣の頭上高くへと到達した。
亮 「おやおや…」
しかし飛行能力がある訳ではない翠は、間も無くして重力に従って落下し始めた。魔獣は翠の落下に合わせ、その両手を大きく左右から迫り上げる。翠は落下しながら弓を引き魔力をチャージし続けた。翠が魔獣の直上に達した時、魔獣の両手がその頭上で合掌するように翠を挟み込む。正に翠がその魔獣の両手に潰される刹那、翠は叫ぶ。
翠 「マキシマムドメギド!」
魔獣の手が合わさると、まるでその合掌の勢いで手が破裂したかのように、その両手の甲が爆発的に吹き飛んだ。そしてそれと同時にその合掌された手の下から、魔獣の体幹を垂直に貫く光線が駆け抜けていた。更に魔獣の体に穿たれていた無数の横穴から、体幹を貫く光線が溢れ出すかのように噴き出ていた。体の中心と無数の横穴からガラス化して行くと、さしもの超巨大魔獣といえども耐えられはしなかった。
ブオオオオオォォォ
魔獣は大地を震わせる振動のような咆哮を残し、その活動を停止させた。
体の上の方から崩れ落ちる魔獣の破片に混じるように翠は降下していた。翠は無傷だった。翠のマキシマムドメギドが発した衝撃波が魔獣の手を弾き飛ばしていたのだ。
翠は地面に着くとすぐにその場から飛び退いて全速力で移動し始めた。それは落ちて来る魔獣の破片を避ける為だけではなかった。翠は結界の出口とは反対の方へ一目散に向かっていた。そしてある低い塔の上に飛び乗るとそこから弓を下方に構えて叫んだ。
翠 「お前は何者だ!」
そこには背中を向けた亮が地面に立っていた。亮はビクッとしやや背中を丸めていたが、クルッと振り返るとファイティングポーズをするようにして捲し立てた。
亮 「君こそ誰なんだい?一体ここはどこなんだい?進路の事で悩んでいたら、いつの間にかこんな訳の分からない場所にいたんだ。訳の分からない白い巨人はいるし、どこに行っても同じような風景だし、一体僕に何が起こってしまったのか分からないよ。ねえ君、何か知っているのなら教えておくれよ。」
だが翠は弓を番えたままその矢の先端に光輪を冠させ、まるで長年の謎が解けたという風に言った。
翠 「そうか…あなたが陽子の言っていた響亮なのね…」
そう言われると亮は構えていた腕をゆっくりと下ろし、緊張を解いて言った。
亮 「ふーん、なるほどねぇ…葉恒翠、か。まっさすがはオブリゲイションタイプってとこかな。でっどうするんだい?」
翠 「勿論、必要な事をするまでです。」
亮 「ふ〜ん、そう。」
翠 「まず質問に答えて頂きます。」
亮 「フフフ…いいよ、あの魔獣を倒したご褒美だ。僕が答えられる事なら、何でもお答えいたしましょう。」
翠
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