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SECOND
第一部
第三章
第二十三話『遺譲』
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呆れますけどね。」
 そのやり取りを聞いて直は翠を睨んだ。直は事前に詠から、この翠という子がリーダーだと知らされていたし、その実力が凄いものだとも聞かされていた。だがそれでも直は、翠が自分が魔法少女になる事に否定的で、その上キュゥべえを使って自分の記憶を消そうとしたと思い込んで恨んでいた。そしてなにより直は、自身が尊敬する年長者の詠がへりくだって言っているのに、やけに横柄な物言いを翠がしていると感じ憤慨したのだ。ただ、いじめ克服の一件で意気揚がる直ではあったが、新参者の自分が事を起こしては詠に迷惑が掛かると考え自重し、その思いを吐き出すような真似はしなかった。
翠  「では、参りましょうか。」
 そして四人は魔獣狩りへと繰り出して行った。
 その日の狩りで判った事は、直があまり強い方の魔法少女ではなかったという事だった。それは直自身にとっても面白くない事実であったが、翠にとってもある自分の考えを推し進める動機となった。魔獣空間内で翠はみんなを集めた。
翠  「みんなに提案があるのだけれど。」
詠  「何かしら?」
翠  「何て言うか…詠さんには蒸し返すようで悪いんですけど、やっぱり私一人でやった方がいいかなって…」
詩織 「翠…」
詠  「翠、それはこの間言ったように他の子にとってもよくない事でしょ。」
翠  「詠さん、前に幸恵が言った事覚えていますか?今にして思えば幸恵の言っていた事って案外正しかったのかもしれません。だってそうしていれば幸恵は失われなかったかもしれない。」
詩織 「…」
詠  「そうかしら、むしろ逆なんじゃないのそれは。結局彼女はカースキューブの為に戦わなければならなかったんだから。だったら個人のスキルアップこそが、生存率の向上につながるんじゃなくって?」
翠  「でも、よくよく考えてみればカースキューブって別に、キュゥべえの前で出さなきゃいけないって訳じゃないですよね。私の出したカースキューブをみんなに分け与えたとして、何か不都合でもあるんですかねえ。」
詠  「それは…キュゥべえに聞いてみないと判らないけど…でもそれって道義的にどうかなっては思うわよね。」
翠  「私も初め道義的にどうかと思ったんですけど、人が死ぬ事に勝るほどの理由にはならないですよね、どう考えても。」
詠  「それはそうだけど…」
 詠は自分が翠を説得する事に限界を感じた。歳こそ自分が上だが翠は魔法少女としては先輩だし、大体能力的には遥かに勝る存在なのだ。本来意見すら言えないぐらいの立場だと思っているのに敬意を払って貰っていて、実際詠は翠が随分と礼節を重んじていると感心しているくらいだった。だがそれでも詠は、翠が独往しチームが瓦解してしまうような事態を避けたかった。詠は亡きマミにすがった。
詠  「あのね翠、前にマミさんと話をした
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