第一部
第三章
第二十三話『遺譲』
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ある知的集団を形成出来てはいるようだ。でもそんな人類の未熟な人間を一ヶ所に集め、あまつさえそれらを競わせるように仕向けるとなるとどうなると思う?高い緊張感から逃げるように本能的代位行為に走るに決まっているよ。だからといって僕は学校というシステムを否定はしない。なぜなら未熟な人間に知識や社会規範を教えるのには効率的なシステムだし、それにいじめは学校内だけでなく一般社会中にも存在するからね。要するにこの星の人類は少数の者をいじめの生贄とする事により、大多数の心の安寧を得るというシステムを選んでいるんだよ。」
直 「じゃあ、いじめは無くせないの?」
キュゥべえ「この世界からってのは、君の願いじゃ無理だなあ。まあ、あの葉恒翠が願っていたのなら可能だったろうけどね。」
直 「翠なら、ですって…」
直は面白くなかった。詠ならともかく、自分に否定的な発言をした翠という存在が、優越的に自分の上にいるようで不愉快なのだ。
直 「じゃあどの位なら、どの位の範囲でなら可能なの、この私でも。」
キュゥべえ「う〜ん、そうだな…取り敢えず君の目で見える範囲って事なら可能かな。要するにいじめという現象そのものが無くなるんじゃなくって、君の方がそのいじめの現象に予定調和的に出くわさなくなるって奇跡なら起こせるよ。言っておくけど、これはこれで結構凄い事なんだからね。」
直の心は翠への対抗意識も手伝って、もはや魔法少女になる事が大前提となっていた。
直 「じゃあ、それでいいわ。私をその願いで魔法少女にして。」
?
夜になっていつもの公園で翠と詩織が待っていると、詠がやって来て申し訳なさそうに言った。
詠 「ちょっと紹介したい子がいるんだけど…」
翠 「…そうですか、いいですけど…」
詠 「直、来て。」
詠に呼ばれると、暗闇の中から直が姿を現した。直は緊張気味に言った。
直 「どうも、廈横直と言います。静沼中の一年です。どうか宜しく…」
詩織 「あらどうも。私は真麻詩織、見滝原中の一年生よ、詩織でいいわ。私もまだ新人なの、こちらこそ宜しく。」
直 「あっ、私も直でいいです。」
詩織と直はお互いにペコリと頭を下げた。
翠 「そう…」
翠はやっぱりそうなったかという感じでやや白けたように言った。
翠 「そういえばあの時、ちゃんと名乗っていなかったわね。私は葉恒翠、翠でいいから。」
直はかなりぎこちなく僅かに頭を下げて、翠に答えた。
直 「はい、どうも…」
詠は翠に取り繕うように言う。
詠 「私もさ、直になって欲しいと思っていた訳ではなかったんだけど…」
翠 「詠さん、それは私に言う事ではないでしょ。本人が決めたのなら、私はそれはそれでいいと思いますよ。もっとも、キュゥべえの体たらくぶりには
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