第一部
第三章
第二十三話『遺譲』
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だけど、来て良かったよ。君が能力遺譲を受けていたのが知れてさ。」
そしてキュゥべえは去り際に誰にとなく呟いた。
キュゥべえ「これで運命が変わるといいんだけどねぇ…」
?
直は迷っていた。詠にはならないと言ったものの、直の心の中には魔法少女になってみたいという衝動があった。直は何か言い訳のようなものを求めていた。
直のクラスでは異変が起こっていた。それまで直をいじめていた中心人物が、今度は直の代わりとばかりにいじめの対象になっていた。結局、誰でもいいのだろう。
そんな直の許へキュゥべえがやって来た。
キュゥべえ「やあ廈横直、唐突だけど君の魔法少女に関する記憶を消させて貰うよ。」
直 「待って、何で急に?」
キュゥべえ「まあ僕としても不本意なんだけどね。でもある人物からの依頼なんでね、仕方がないんだよ。」
直 「その記憶を消されると、私はもう魔法少女にはなれないの?」
キュゥべえ「そうだね。僕も君に対するリクルートはその時点で一旦諦める事になるからね。君の魔法少女になる資格自体は無くなりこそしないけど、今の君に残されている第二次成長期内に再びそのチャンスが巡って来る事はまず有り得ないだろうね。」
直 「その依頼をした人物って誰なの?」
キュゥべえ「正式な依頼者は葉恒翠さ。」
直 「翠ってあの時の、魔法少女のあの子?」
キュゥべえ「そうさ。」
直は憤慨した。一体どんな権利があって翠という子が自分の事を決めていいのかと。
直 「あいつ…」
キュゥべえ「じゃあいいかな?」
直 「待って、私今魔法少女になるって言ったらなれるの?」
キュゥべえの尻尾がクルリと回った。
キュゥべえ「勿論なれるさ。君が今、その魂と引き換えにしてもいい願いを言えるのならね。」
キュゥべえはあっさりと宗旨変えをしてのけた。
直 「えーと、えーと…私は…私はこの世界から全てのいじめを無くしたい。これでどお?」
キュゥべえ「う〜ん…それはちょっと、と言うか大分無理だね。」
直 「どんな願いでも叶えてくれるんじゃないの?」
キュゥべえ「勿論普通の人知では及びもつかない奇跡を叶える事が出来るんだけどさ、飽く迄も君の器量に適った願いまでしか叶えられないんでね。何せこの世界からいじめをなくすって事は、人類の進化をやり直さなくっちゃならないって事なんだから。」
直 「なんでそうなるのよ?」
キュゥべえ「いいかい、直。人間は他者に対して優位性を持ちたいと進化して来たんだよ。だから人は弱者を蹂躙すると自己の優位性を体感できて快楽を得るんだ。その快楽は進化の過程で人類に練り込まれた言わば本能のようなものさ。勿論人は本能の赴くまま無秩序に生きている訳ではない、ある程度の節度を持っているからこそ曲がりなりにも社会性の
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