第一部
第三章
第二十二話『100%の100万と1%の1億』
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避けようもない滅びも嘆きも覆せるんじゃなかったの?)
翠がメギドで魔獣を粉砕して行く様は、もはや狩りと言うより純粋な破壊行為としか言いようが無かった。
それを見ていた詠と詩織は圧倒され、全く動けなくなっていた。
詠 「翠ったらどんどん強くなって行ってるわね…」
キュゥべえ「それは的確な表現ではないね。」
詠 「え?」
キュゥべえ「翠は強くなっているのではなく、自分の本来の力に目覚めて行ってるのさ。」
詠 「翠の本来の力って…一体どういう事なの?」
キュゥべえ「翠は僕の、いや、我々インキュベーターの知る限り最大の魔法少女なんだよ。しかも桁外れのね。このまま彼女がその力の全てを覚醒させたのなら、彼女はこの宇宙をも破壊出来るほどの前代未聞の大魔法少女になる事だろう。彼女がその圧倒的な力の片鱗をもまだ見せていないのは、それがあまりに大きすぎる為に彼女自身が理解出来ていないからなのさ。」
詠 「その力の片鱗って…充分見せているんじゃないの?」
キュゥべえ「まさか。あんなもんじゃないよ、彼女の本当の力は。」
詠は薄ら寒さを覚えた。
キュゥべえ「いやまったく、確かにあれが使い捨てなんて勿体無いよね。」
詠 「え?」
その言葉に詠は驚き、すぐにキュゥべえの方を見た。しかしキュゥべえは結界から出てしまったのかもうそこにはいなかった。
(使い捨てって、魔法少女は皆使い捨てって事なのかしら?それとも…)
だが今の詠にはその言葉の真意を窺い知る事は出来なかった。
それでも詠は自分がすべき事を見失いはしなかった。魔獣を全滅させ一際高い塔の上に仁王立ちしている翠の許へ行き声を掛ける。
詠 「翠…確かに私はあなたに自覚を求めたけれど、それはこういう事じゃないよ。」
翠 「ふふっ、まあそうでしょうね。…でも有効だわ、これなら誰も死なない。」
詠 「狩りの時はね。でも置いていかれた詩織はいざと言う時どうなるのかしら。」
そう言われて翠は唖然として佇む詩織の方を見やった。このやり方では詩織は経験を積めないし、カースキューブも稼げない。
翠 「…そうね。御免なさい詠さん、私ちょっと取り乱しちゃったみたいです…」
詠 「いいのよ、そういう日もあるわ。」
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