第一部
第三章
第二十二話『100%の100万と1%の1億』
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待値として翠の方が上だって言いたいんだろ。でも僕達インキュベーターは全財産を注ぎ込んでまで宝くじを買ったりはしないさ。100%の100万と1%の1億なら、必ず前者を選ぶよ。」
亮 「なるほど、この世界のインキュベーターはかなり堅実派って事か…」
キュゥべえ「ん?」
亮 「セカンドオブリゲイションタイプの問題はどうするんだい?」
キュゥべえ「その問題はすでに織り込み済みさ。彼女の破壊速度より我々の拡散速度の方が速いからね。」
亮 「ふふ、君達にとっては税金みたいな物ぐらいって事か…」
亮はおもむろに立ち上がると再び街の方を向き、崖際に立ってそれを見下ろした。
キュゥべえ「僕の質問の答えはまだかな?」
亮 「それなら最初に答えたろ、この宇宙の敵だってさ。」
そして亮はキュゥべえの眼前から消えていなくなった。キュゥべえは何度か瞬きをしてから呟いた。
キュゥべえ「参ったな。取り敢えずゼノビアとフローラの二人には話をしておくか…」
?
夜になって詠が公園で待っていると、酷く消沈した翠がやって来た。
詠 「どうしたの、翠。何かあった?」
翠 「ええ…実はずっとキュゥべえを探していたのだけれど…」
キュゥべえ「何だい翠、僕をお探しかい。」
背後からのその声に、翠はホッとしたように振り返りながら言った。
翠 「ああキュゥべえ、私あなたにやっても…」
翠は息を飲んだ。キュゥべえが詩織の肩の上に乗っていたからだ。
翠 「詩織…」
詩織は笑みを見せ言った。
詩織 「ねえ翠。そちらの方、紹介してよ。」
翠と詩織はお互いを見詰めたまま暫く沈黙した。詠がそれを破る。
詠 「えーと…キュゥべえ、どういう事なのかしら?」
キュゥべえ「うん、この子は真麻詩織。今日から君達の仲間だよ。」
詠 「そう…真麻さん?私は春哥詠、静沼中の二年よ。詠でいいわ、宜しくね。」
詠は詩織に握手を求めた。詩織はその握手に応えながら言った。
詩織 「どうも、詠さん。私は見滝原中の一年で翠と同じクラスの者です。詩織って呼んでくださいね。」
詠は翠がこの詩織という子に魔法少女になって欲しくなかった事をすぐに察した。だがなってしまったものは仕方がない。詠は翠の肩に手を掛けて促した。
詠 「さあ、私達の義務を果たしましょう。」
?
魔獣空間の中に入ると突然翠は豹変し、声を上げ魔獣達に向かって行った。
(ままならない、ままならない、どうしてこうもままならない…)
翠は苛立った。そしてその怒りを魔獣達にぶつけた。それはもう八つ当たりだった。
(魔法少女になれば運命を変えられるんじゃなかったの?)
翠は惜しげもなくメギドを放った。もうマミの重しは無くなってしまっていた。
(
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