第一部
第三章
第二十二話『100%の100万と1%の1億』
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もし私が魔法少女にならなかったら、また幸恵の事忘れてしまうの?」
翠 「うん、そう。だから心配しなくても辛くないんだよ、忘れた事すら忘れられるのだから。」
詩織 「嫌よ、そんなの。幸恵の事忘れてしまうなんて…私魔法少女になるよ。」
翠 「気持ちは分かるけど…でもね詩織、魔法少女は過酷で悲惨なものなの。殆どの子がなって間も無く死んでしまうの。幸恵も陽子もそうだったんだよ…」
詩織 「でも私、幸恵の事忘れたくない…」
翠 「それでも自分の命を懸ける程ではないでしょ。」
詩織 「…幸恵はね、昔私がいじめられてた時にその状態から必死で救い出してくれたんだよ。それは幸恵にとってもかなりリスクのある事だったのに…でもやってくれたの。そんな子を忘れろだなんてあなたは言うの。」
翠 「それは幸恵にとって詩織が…」
ダメだ、そんな事を言えば詩織はますます…
翠は心を鬼にした。これ以上自分の周りの人間を失う訳にはいかない、たとえそれで詩織と絶交になろうとも…
翠 「詩織、本当の事教えようか?」
詩織 「ええ、是非教えてよ。」
翠 「幸恵が死んでしまったの、詩織の所為なんだよ。」
詩織 「えっ!?」
翠 「詩織、幸恵と私の接近に嫉妬して拗ねたでしょ。だから幸恵はあなたの機嫌を取る為に高い買い物をしたの。そしてその分を補う為に無理をして戦い、その結果死んでしまったのよ。」
詩織 「えっ。じゃあ、あのオルゴールの為に…」
翠 「そうよ。」
詩織 「そんな…」
詩織は両手を口に当て声を詰まらせた。そしてもう耐えられないとばかりにその場から逃げ去って行った。
(これでいいんだ…)
翠はそう自分に言い聞かせると、次になすべき事をする為に走り出した。
翠はいつもの公園にやって来るとキュゥべえを呼んだ。
翠 「キュゥべえどこ、いるんでしょ?大事な用があるの、すぐ出て来て。」
だがいくら翠がキュゥべえを呼べど叫べど、キュゥべえは現れはしなかった。
?
詩織は泣きながら家へ帰ると、自分の部屋へと駆け込んだ。そして幸恵から貰ったオルゴールを持ち上げて声を上げた。
詩織 「こんな物…」
しかし詩織はそれを投げつけたりすることは出来なかった。今となっては大事な幸恵の形見なのだ。自分に良かれと思ってくれた、幸恵からのプレゼントなのだから。
詩織 「幸恵…」
詩織はオルゴールを抱えると涙に沈んだ。
? 「何かお悩みかな?」
突然の声に詩織は驚いた。
詩織 「誰?」
詩織は声の主を探した。窓のカーテンにキュゥべえの影があった。
?
町外れにある高台の公園から夕陽に染まる見滝原を眺め佇んでいる亮。その背後からキュゥべえが声を掛けた。
キュゥべえ「君は何者なんだ
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