第一部
第三章
第二十二話『100%の100万と1%の1億』
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「お茶を入れるわね。」
翠が去ると、詠が直に話し掛けた。
詠 「その制服、静沼中よね。」
直 「ええ。…あなたもですか?」
詠 「そうよ、私は静沼中二年の春哥詠。あなたは?」
直 「私は…静沼の一年で廈横直です…」
詠 「そう、では直って呼ぶわね。直、あなたさっきの事覚えているわよね。」
直 「普通あんな凄い事あったら、忘れられないんじゃないですか。」
詠 「ところがそうでもないのよねぇ、これが。それであなたはどうして死にたかったのかしら?」
直 「それは…私いじめられてて…」
詠 「死にたくなるくらい?」
直 「ええ、死にたくなる程にです。」
詠 「そう…」
詠は目を閉じ少し考え、声を上げた。
詠 「キュゥべえ。」
詠がキュゥべえを呼ぶと、どこからともなくキュゥべえが現れた。
キュゥべえ「何だい、詠。」
直 「…」
詠 「キュゥべえ、直に資格、あるんでしょ。」
キュゥべえ「そうだね、あるよ。」
詠 「直、聞いて。私達は魔法少女っていう者なの。魔法少女ってのはあの白い巨人、魔獣って言うんだけど、あれと戦ってあれから人々を守るのが使命なのね。それでね、そんな使命を背負った魔法少女になる時にね、その対価として一つだけどんな願いでも叶えて貰えるのだけれど…実は私もクラスで嫌がらせを受けていてね、それが元でとんでもない事件に巻き込まれてしまったのよ。それで私はその事を解決するようにお願いをして魔法少女になったの。だからあなたも、もし死んでしまいたいぐらい今の状況が苦しいのなら、その事を解決して魔法少女になってみたらどうかしら?」
そこへ翠が、お茶の載ったお盆を持ってやって来た。翠はお盆をテーブルの上に置き、お茶を配りながら言った。
翠 「詠さん、お願いを餌に魔法少女の勧誘をするのはどうかと…」
詠 「そうは言うけど、この子の場合むしろその方が良いんじゃないのかしら。」
翠 「でも魔法少女になると本当に命に係わりますから…」
直はその言い方に反感を持った。
直 「あなたはまるで今の私の辛さなんて、所詮命には係わらない大した事のないものだと思っているのね。」
だが翠も強く言い返した。
翠 「あなたの辛さがどれくらいかなんて所詮は他人の私には分かりませんよ。でもね、魔法少女になるって事はとんでもなく大変な事なんです。あなたは今の家族と別れその存在をも忘れられ、命懸けの戦いの中に身を投じてその責務を果たし、そして人知れず死んでゆく覚悟があるというのですか?」
直 「それは…」
直が怯むと詠が口を出す。
詠 「まあ、家族と別れると言ってもすぐにって事じゃないわ。現に私は今家族と一緒に暮らしているしね。それにそれは今すぐ決めなければいけないって訳じゃないのよ。
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