第一部
第三章
第二十二話『100%の100万と1%の1億』
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こちらこそ宜しく、冴子。」
冴子 「えへへ…」
冴子は嬉しそうに笑った。
?
ある日、学食で翠と詩織が二人で昼食を取っていると、なんだか不思議そうに翠を見ていた詩織が問い掛けて来た。
詩織 「ねえ、翠。」
翠 「なあに。」
詩織 「私達ってどこでどうやって知り合ったんだっけ?」
翠 「それは…」
翠はそれに答えられず、ただ言葉を詰まらせるばかりであった。
?
静沼中一年の廈横直(かよこ なほ)は、小柄で可愛らしく屈託なく男女共に接し、特に男子に人気があった。しかしその事がやがて他の女子から疎まれ出し、いじめが始まった。
いじめは最初は他愛のないものであったが徐々にエスカレートし、急速により暴力的なものとなって行った。
数人の女子に押さえ付けられ便器に顔を突っ込まれるなどの苛烈ないじめを受けると、直はより無気力無抵抗になって行った。
失意のどん底に陥った直が心の苦しみに耐えて歩いていると、あたかも当然のように魔獣空間へと誘なわれて行った。
初め直は少しだけ驚いたか、現れた魔獣がその拳を振り上げると、まるでそれを受け入れるかのように目を閉じ両手を広げた。
バリバリバリン…
何かが瓦解するような破壊音を聞いた直が目を開けると、目前に迫っていた魔獣が崩れ去っていた。更に動く物に目をやると、巨大な魔獣と戦うボウガンを持った少女がそこに見て取れた。殆どの魔獣がいなくなった頃、もう一人弓を持った少女が現れた。
翠 「ごめんなさい詠さん、一人でやらせちゃったね。」
詠 「緊急出動の時はしょうがないわ。それに狩りの時と違って数が少ないから私だって一人でも大丈夫よ。」
そして笑みを浮かべて言った。
詠 「もう少し私を信用して欲しいものね。」
翠 「勿論信用していますけど…」
詠 「心配してくれているのね。まあ、その気持ちはありがたいのだけれど…」
その時、直が声を上げた。
直 「ちょっと!なんで余計な事するんですか!」
二人はその声を聞いて直の許に駆け寄った。
詠 「余計な事って、あなた今殺されてしまう所だったのよ。」
直 「ええ、そうですよ。私、死ねる所だったのに、なんで勝手な事するんですか。」
詠 「あなた、死にたかったの?」
直 「ええ、そうですよ…死んでしまいたかったのに…」
そう言うと直は顔を押さえてしゃがみ込み、シクシクと泣き出した。翠はしゃがんで直の背中に手を当てて言った。
翠 「ごめんなさい。よかったら事情を聞かせてくれないかしら。」
?
翠と詠は直を連れて元マミの、そして現翠の部屋へとやって来た。マミの部屋はさすがの威力で、直も驚きと羨望のあまり一時的に悲しみが失せてしまった。
翠
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