第一部
第三章
第二十一話『これはもう使い物にはならない』
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る前かのように何も無いんでしょ。それとも何か工事をする予定でもおありで?」
幸恵父「いえ…でもそう言われてみると、確かにあの部屋のがらんどうっぷりは変だなあ。何であの部屋には何にも無いんだろう…」
幸恵の父親は腕を組んで考え始めた。後藤は幸恵の母親に諭すように言う。
後藤 「奥さん、娘さんの名前。もう一度思い出す努力をして頂けませんか。」
幸恵母「娘の名前は…名前は確か…」
?
翠が幸恵の魔獣狩りを手伝っていると、詠が翠に向かって声を上げた。
詠 「翠!あれ見て!」
翠が詠の指差す方を見やると、かなり大きな魔獣がいつの間にか結界の出口付近に迫っていた。
翠 「幸恵!」
幸恵 「何?」
翠 「あれ!」
幸恵 「うわ!何あれ、でか!」
詠が堪らず翠の許へとやって来る。
詠 「どうするの、三人でやる?」
翠はへたばった幸恵を見ながら答えた。
翠 「いいえ、私が一人でやります。だから詠さんは幸恵を看てあげていて。」
詠 「分かったわ。でも一人で大丈夫?」
すると翠は不敵な笑みを浮かべた。
翠 「問題ありません、あれぐらい一人で殺れますから…」
詠 「あれぐらい、なの…そう、なら任せたわよ。」
翠は単身、大型魔獣へと向かって行った。雑魚を蹴散らしながら大型魔獣の前に立つと、翠は弓を大きく引いた。
翠 「メギド!」
翠の放ったメギドの矢は、魔獣の胸の真ん中を貫きそこに大穴を開けた。大穴の周辺はガラス化し、大ダメージを与えたかに見えた。しかしその大型魔獣はまるで何事も無かったかのように、腕を振って翠に攻撃を仕掛けて来た。
翠 「ならば…」
素早くその攻撃を躱した翠は、すぐに次の手に出る。近くの高い塔に上ると、翠は驚異的なジャンプ力を以て空高く舞い上がった。そして、その大型魔獣の頭上に至ると再び弓を引いた。
翠 「メギド!」
翠のメギドが魔獣の体を頭から垂直に貫くと、さしもの大型魔獣も一気にガラス化し砕け散った。
そんな翠の戦いをよそに、幸恵はカースキューブ欲しさに魔獣に向かって行っていた。
詠 「幸恵、止めて。とても私ではフォローしきれないわ!」
幸恵 「これくらい私だって、私だって…」
幸恵の闘争には翠に対する意地もあった。しかし動きの鈍った幸恵は魔獣の攻撃を受けてしまう。
幸恵 「グヘッ!」
魔獣にはたかれた幸恵は遠くに飛ばされ、地面に強く叩き付けられた。疲労とダメージで体が動かない幸恵に、近くにいた魔獣の拳が振り下ろされる。迫る拳にどうする事も出来ない幸恵は、恐怖に震えながら言葉を漏らした。
幸恵 「マ…マ…」
?
幸恵母「幸恵ーっ!」
突然幸恵の母親は立ち上がって叫んだ。取調室の中は驚きで溢れた。
後藤 「
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