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SECOND
第一部
第三章
第二十一話『これはもう使い物にはならない』
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って結構高いんじゃないの?」
 ここで翠が機転を利かす。
翠  「実はさあ、詩織。今まで幸恵はそのサプライズプレゼントをする為にお金を稼いでいたんだよね。うちの学校バイトとか禁止だし、当然詩織に相談する訳にもいかないから幸恵は私に助力を求めたんだよね。そんな訳で最近まるで私と幸恵が急接近したみたいになってたんだぁ、ごめんね。」
 詩織は破顔して泣きそうに言った。
詩織 「何よ、幸恵ったらもう…」
 幸恵は内心思った。
 翠、グッジョブ!
幸恵 「まあそういう訳なんだぁ。詩織ぃ、機嫌直してくれた?」
詩織 「直すも直さないも無いよ…幸恵、有り難うね、本当に…」
 涙ぐんで喜ぶ詩織に、翠と幸恵は互いに顔を合わせて頷いた。

  ?

 幸恵の母親は娘がいなくなったと深刻なノイローゼに陥っていた。見滝原署にやって来た彼女は捜索願を出そうとしていた。
幸恵母「娘が、うちの娘がいなくなったんです。お願いします、娘を探してください。」
警官 「またあなたですか、いい加減にしてくださいよ。それで、娘さんのお名前は分かったんですか?」
幸恵母「娘の名前は…名前は…分からない…でも確かにいたんです、そしていなくなってしまったんです。お願いします、娘を探してください…」
警官 「そう言われましてもねえ…」
後藤 「どうしたんだ?」
警官 「あっ警部補。実は困っておりましてね。こちらのご婦人が、娘がいなくなったから探してくれと言うのですが…」
後藤 「それでは所定の手続きを取って…」
警官 「それがですね。こちらの戸籍を調べたところ、このご婦人には娘などおりませんで、その上その娘の名前が分からないと言われる始末でして。非常に私も困っている次第でありまして…」
後藤 「その方にご家族は?」
警官 「ええ、ご主人がおりますが、その方も困っているようでして…」
後藤 「分かった。ではこちらで一旦預かろう。あと、そのご主人さんを呼んでおいてくれ。」
警官 「はっ!」
後藤 「さあ、奥さん。こちらへ。」
 後藤は取調室に幸恵の母親を通した。

  ?

 その夜、魔獣狩りに三人が集まると、詠が翠に指摘して来た。
詠  「ちょっと翠、幸恵大丈夫なの?」
 確かに幸恵は明らかに疲れているようだった。翠にしても再三幸恵に休むように言っているだけに、詠の指摘に答え難かった。
翠  「私もそうは言ってるんですけど…」
幸恵 「詠さんさあ、なんでそこ翠に聞くかなあ?私が大丈夫って判断してんだから、それでいいじゃん。」
 詠も大方そんな事だろうと思ったからこそ翠に聞いたのだが、まあ翠の言う事を聞かない幸恵が自分の言う事なんて聞く訳がないとすぐに達観した。
詠  「まっそうよね。私もつまらない事言ったわね、ごめんなさい。
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