第一部
第三章
第二十一話『これはもう使い物にはならない』
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「そいつは余計なお世話ってもんですよ。ちゃんとそこいらはこっちも考えてるんでね。」
詠は翠の方を見て言った。
詠 「そう、それならいいんだけど。」
狩りが終わり詠が先に帰ると、翠が幸恵に聞いた。
翠 「幸恵、こう言っては何だけど、私から見てもかなり無理してるように思えるんだよね。どうしてそこまで頑張っているの?」
幸恵 「実はさ…」
翠 「実は?」
幸恵 「実はさ、私キュゥべえからお金借りようと思ってさ…」
翠 「え?何でまた…」
幸恵 「言ってなかったんだけどさ、私今結構みすぼらしい生活してんだよね。そこから這い上がりたいってのもあるんだけどさ、それ以上に詩織の誕生日プレゼントを買うお金が欲しくってさ。」
翠 「…言ってくれれば私が貸したのに。それに詩織のお誕生日プレゼントなら私も半分出すよ。」
幸恵 「ダメなの、翠。詩織へのプレゼントは私が全部やらなきゃダメなの。」
翠 「何で?それってやっぱり私は…」
幸恵 「そうじゃないの、翠。実はさ、私と詩織は、ああ陽子もだったけど、同じ小学校だったんだ。と言っても私はパパの仕事の関係でこっちに小3の時に越して来たんだけどね。だから転校して来たんだよ。翠は転校した経験ってある?」
翠はしそうにはなったが、した事は無かった。それが嫌で魔法少女になったくらいだった。首を振る翠。
幸恵 「転校して来た子にとってさ、最初に声を掛けてくれた子ってすごく特別なんだ。だって下手するとさ、そのままクラス替えになるまで友達出来なかったりするんだよ。詩織はさ、転校して来た私に初めに声を掛けて来てくれた子なんだ。それで詩織には借りがあるっていうかさ、私にとって特別な子なんだよね。だから詩織へのプレゼントは私が自力でしないとダメなの、分かってくれる?」
翠 「うん…分かった。」
幸恵 「まあそうは言っても、結局カースキューブ稼ぎを翠に手伝って貰っちゃってるんだけどね。まあその辺りは借りって事でさ、今後とも宜しくって訳なんだけどね。」
翠 「ええ、そういう事なら是非手伝わせて頂くわ。」
幸恵 「はははー、じゃあ宜しく。」
幸恵は照れを隠すように去って行った。
?
その日は詩織の誕生日だった。一人で帰ろうとする詩織の前に、立ち塞がるように幸恵と翠が現れた。
詩織 「何?」
幸恵 「詩織ぃ、これ。お誕生日おめでとう。」
詩織 「…」
差し出された折り箱を、取り敢えず詩織は受け取った。
幸恵 「開けてみてよ。」
詩織は取り敢えず包みをはがして、中を確かめた。中には高価そうなオルゴールが入っていた。
詩織 「あっこれって…」
幸恵 「うん、前にうちに遊びに来た時にさ、詩織が気に入ってたみたいだったからそれにしてみたんだ。」
詩織 「でも、これ
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