第一部
第二章
第十七話『あれは君の所為なんかじゃない』
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翌日、ぐったりとした翠が登校していた。翠が何とか教室に辿り着くと、幸恵と詩織が声を掛けて来る。
幸恵 「翠、おっはよ。」
詩織 「お早う。」
翠 「うん…お早う。」
幸恵 「何?元気ないじゃん。」
翠 「うん…ちょっとね。」
幸恵 「あっ、分かった。今、陽子と喧嘩中なんじゃない?」
翠 「…。」
幸恵 「だってー、昨日も二人別々に登校して来てたでしょ。」
詩織 「ん?幸恵、何の話。」
幸恵 「ほら、だって昨日なんか陽子、暁美先輩と二人だったし。」
詩織 「陽子って?」
幸恵 「陽子って、空納陽子よ!私達のクラスメイトでしょ。」
詩織 「空納陽子なんて子、うちのクラスにいたっけ?」
幸恵 「何言ってんのよ詩織、小学校の時から知ってて最近一緒にしてるでしょ。翠も何か言ってやってよ!」
翠は幸恵がまたも陽子の事を覚えていて少し驚いたが、とてもその説明をする訳にはいかないし、それ以上にそんな気持ちにはなれなかった。
翠 「そんな子は…いないよ。」
幸恵 「えーっ!また?」
幸恵は困惑した。
?
放課後、幸恵は落ち込んでいた。クラスの中で陽子の事を聞きまくり、挙げ句先生にも尋ねたが結局誰も陽子の事を知らなかった上に、見えないお友達がいる人としてあらぬ疑いを掛けられてしまったからだった。
詩織はそんな幸恵を見兼ねて、元気付けようと提案した。
詩織 「ねぇ幸恵、翠。帰りに少し遊んで行かない?」
しかし幸恵は更に暗い顔をして答えた。
幸恵 「私、塾に行かなくっちゃいけないから…」
幸恵と別れた後、詩織が翠に教えた。
詩織 「幸恵のお母さんって、勉強に厳しいんだよね。」
翠 「でも幸恵って学年で十番台でしょ。」
詩織 「それがねぇ、幸恵によるとトップ3に入らなきゃいけないんだって。」
翠 「ふーん。」
翠は幸恵がちょっと気の毒に思えた。
?
ほむらとまどかは別々に学校から帰宅していた。いろいろ勘ぐられるのも面倒なので、クラスメイトには同棲している事はまだ伏せていたのだ。
先に帰っていたほむらは、帰宅して来たまどかを居間に呼んだ。
ほむら「まどか、ちょっと来てくれる。」
まどか「何?ほむらちゃん。」
まどかが部屋に入って来ると、ほむらは右手をまどかに差し出して来た。
まどか「え〜と…」
ほむら「ソウルジェムを見せてよ。」
まどか「ああ、あれ。あれねぇ…どーこやったかなぁ…」
まどかはポケットをまさぐり、探すふりをした。しかし、何か誤魔化そうとしているのが見え見えだったので、ほむらは怒った。
ほむら「まどか!ふざけてないで早く見せて。」
だがまどかは、服のあちこちに手をやって探すふりをするばかりだった。
まどか「あっれ〜、おっ
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