第一部
第二章
第十七話『あれは君の所為なんかじゃない』
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たは何か嫌な事や不安な事とか考え込んでいなかった?魔獣達はねえ、人間の負の感情が具現化したものなの。そして不安や不満といった負の感情を強く持った人間を、自分達の空間に取り込んで殺そうとするの。」
幸恵は何か言いたげな顔をした。
翠 「そんな魔獣達と戦う者がいるの。あなたを助けたって人もそうなんだけど…それが魔法少女と呼ばれる者なの。」
幸恵は頬に手を当てて、少し考えてから言った。
幸恵 「私ね…」
翠 「うん。」
幸恵 「翠、私ね、その話、突拍子も無いし非科学的だし、正直嫌いなぐらいなの。」
翠 「…」
幸恵 「でもね、不思議なまでに今は信じられるのよね。私から質問してもいい?」
翠 「うん、いいよ。」
幸恵 「その魔法少女って、何者なの?」
翠 「う、うん。それはね…」
翠は少し躊躇したが、ここまで来ては引き返せない。
翠 「魔法少女はね…まあ…何ていうか、人がなるものだよ。生まれついてその資質を持った選ばれた子がインキュベーターのキュゥべえと契約して、願い事一つと引き換えに命懸けの戦いの運命を受け入れるとそれになれるの。」
幸恵 「インキュベーターのキュゥべえって?」
翠 「えーっと…宇宙生物って言ってたかな…見た目は猫ぐらいの白い小動物で、口を開けずに話をするの。」
幸恵 「魔法少女ってあのでかい奴ら、魔獣ってのと命懸けの戦いをしているのよね。」
翠 「ええ。」
幸恵 「じゃあさぁ、死んじゃう子もいるって事よね。」
翠 「うん、そう。」
幸恵 「じゃあ、魔法少女が死ぬとどうなるの?」
翠 「魔法少女の死には二種類あるんだ。一つは普通に、と言ったら変だけど、体に大きなダメージを受けて死んでしまう死と。もう一つは魔力を使い果たしてしまい、円環の理というものに従ってこの世界から消えて無くなるって死。そしてそのどちらの場合でも、死んでしまった魔法少女の事は普通の人の記憶と記録から消されてしまうの。」
幸恵 「じゃあ、巴先輩と陽子って…」
翠 「うん、魔法少女だったよ。」
幸恵 「それじゃあ、それを知ってるあなたも…」
翠 「ええ、そうよ。」
幸恵は横を向いて腕を組むと、呟くように言う。
幸恵 「なぜ私に、そんな話をしてくれるのか…」
そして我が意を得たりとばかりにニヤリとして続ける。
幸恵 「それはこの私が、資格を持った選ばれた人間だからなのね。」
翠は微かに頷いた。
幸恵はすっかり自信を取り戻し、いつもの少し挑戦的な幸恵になっていた。
幸恵 「も一つ聞くけど、魔法少女って男子もいるの?」
翠 「ええっ!?…ちょっと分からないけど、私が知る限り男子っていないし…多分魔法少女って言うぐらいだから女子限定なんじゃないのかなぁ。歳も私達くらいの子だけだと思うし
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