第一部
第二章
第十七話『あれは君の所為なんかじゃない』
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持った少女が魔獣達を倒す所を、まるで他人事のようにただ呆然と立ち尽くして見ていた。
気が付くと現実の世界にいた。幸恵の前には二人の少女がいた。
唯 「もう大丈夫だろ。行こう。」
詠 「そうね、行きましょう。」
二人の少女が立ち去ろうとした時、幸恵が唯の手を取った。
幸恵 「待って…今のは何?そしてあなた達は誰?」
唯と詠は少し意外そうに一旦お互いの顔を見合った。しかしすぐに二人は笑顔になると、唯は幸恵の手を丁寧に外し彼女の肩に手を掛けて言った。
唯 「今あった事を明日も覚えていられたのなら、きっとまた会う事になるさ。」
そして二人は夜の闇の中へ消えて行った。
?
次の日の朝、幸恵はぼーっとした表情で登校して来た。詩織と翠が挨拶をしても全くの上の空で、明らかに妙な様子だった。
昼食の時になって、幸恵がポツリと言った。
幸恵 「私、やっぱりおかしくなっちゃったみたい…」
詩織 「どうしたの幸恵、昨日の事気にしているの?それとも別に何かあったの?」
幸恵は虚ろな瞳を詩織と翠に一度向けると、その二人の中間辺りを見据えて話し始めた。
幸恵 「そうね、陽子の事もあったけど…昨日の塾の帰りの時なんかね、歩いていたら変な所にいつの間にかいたの。そこは何もかもが真っ白い荒野みたいな所で、石柱があっちこっちに生えてて、しかも白い巨人みたいな怪物が襲ってくるのよ。そしたらヒーローが現れてその怪物達をやっつけていって、私を助けてくれたの。」
詩織 「ええ、何それ?夢の話って事なの?」
幸恵は腑抜けたニタリ顔をして、詩織の方を向いた。
幸恵 「それが夢って感じじゃなくってさぁ…白昼夢って奴なのかなあ、とにかく実体験ぽくって…そんな感じで…はぁ、私もうダメだわ…」
そう言うと幸恵は突っ伏した。詩織はそんな幸恵を心配していたが、翠は一つの確信をしていた。
放課後、翠は幸恵に大切な話があると言って人気の無い場所へ連れ出した。
幸恵 「翠ぃ、私今日も塾があるからぁ、手短にしてよね。」
幸恵は翠の方を見ず、俯き加減にそう言った。
翠 「…幸恵、落ち着いて聞いて。まず空納陽子の事だけど、確かについこの間まで存在していたよ。それから巴先輩も実存していたし、あなたの昨日の体験も実際にあった事なの。」
それを聞いても幸恵は何とも思わなかった。どうせ翠は自分を励まそうとして合わせているだけなんだと思ったのだ。
翠 「白い巨人って仏教の僧侶みたいだったでしょ、それは魔獣って言うの。そしてあなたが迷い込んだ場所は白い砂地に、白い石灰岩みたいなもので出来た四角柱の塔が不規則に立っていたでしょ。そこは魔獣空間て言って、その魔獣達の特殊な異空間なの。」
幸恵の顔が上がる。
翠 「その空間に入り込む直前、あな
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