第一部
第二章
第十六話『どうか完璧な魔法少女になって』
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んて、それは無理があるお話でしょ。」
まどか「翠ちゃん…」
翠 「でも一人なら何とでもなる。現に今もここまで来れてる。さあ、行って。そしてみんなに伝えて。お願い。」
まどか「…。」
まどかは下を向いて歯を食いしばっているように見えた。
翠 「リーダー命令です!今すぐここを離れ、退却しなさい!」
するとまどかは翠の胸倉を掴み、壁に押し当てるようにして持ち上げて、怒ったような泣いているような震える声で言った。
まどか「今日は誰も死なないんだろ。」
そしてそのまま自分が振り向いて翠を背中に乗せると、その両腕を肩越しに引っ張って背負い込んでみせた。ヨロヨロと歩き出すまどか。
翠 「止めて!こんな事したって一人死ぬだけで済むところが二人死ぬ羽目になるだけじゃない。」
まどか「黙れよ。口動かすんならその前に手でしっかり私を掴めよ。そうすりゃ私の負担が減るんだよ。」
しかしそんなまどかの前に小型の魔獣が現れ攻撃を受けると、まどかは不様に横に跳び退ける事しか出来なかった。その魔獣は結局、地面に投げ出された翠によって仕留められた。
翠 「ククッ、クククク。これは…酷いわね…」
と、そこへ陽子が現れた。陽子は翠の足にすぐに気が付いた。
陽子 「翠ちゃん、大変!」
翠 「陽子!良かった、いい時に来てくれた。私はいいから、そこにいるまどかさんを連れて行ってあげて。」
陽子 「大丈夫だよ、翠ちゃん。今、治してあげるからね。」
そう言うと陽子は翠の足を整えて、折れている所に手をかざした。
翠 「えっ陽子、何してるの?」
陽子は苦しげに、しかし笑顔で応える。
陽子 「すぐ済むからね…」
翠が混乱から冷静さを取り戻して陽子の魔力が酷く弱っている事に気付いた時、陽子は残り総ての魔力を使い切って円環の理に従い消えようとしていた。
陽子 「翠ちゃん、どうか完璧な魔法少女になってね…」
そして陽子はその言葉と青い髪飾りを残して消滅してしまった。
翠 「陽…子…」
翠の足は治っていたが、そんな事は今はどうでもよかった。翠は震えながら、ぎこちなく手を伸ばして陽子の髪飾りを拾おうとした。だが寸でのところで、その髪飾りはまどかによって取り上げられた。
翠 「そっ、それ…返して…」
まどか「欲しけりゃ奪い取りな。」
そしてまどかは陽子の髪飾りを持って、放心する翠を残したまま行ってしまった。
?
全力で出口の方に向かうまどかを、ほむらは見つけるとすぐに近寄って尋ねた。
ほむら「まどか、一体どうなってるっていうの?」
まどか「陽子ちゃんは消滅しちゃった。翠ちゃんは今私を追い掛けて来てる筈。出口へ急ごう。」
ほむら「えっ何?訳分かんないよ、もう!」
結界の出口付近では、詠と唯が魔獣と戦って
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