第一部
第二章
第十六話『どうか完璧な魔法少女になって』
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急いで近付けば追い付けそうではあったが、翠は一旦の停止を求めた。翠の許に全員が集まる。
翠 「明らかに何かおかしい気がするんだけど…。」
詠 「私もそう思うわ、なんだか不気味な感じがするの。今日は狩りを中止するって手もあるわね。」
唯 「でもよう、昨日だって雨こそ降ってなかったけどよ、魔獣が殆どいなかったのは一緒じゃん。こないだ大量に倒したんだから、数が少ないのは不思議じゃないぜ。そんな事言ってたら、魔獣狩りなんて出来ないんじゃないの?」
唯の意見は間違ってはいないが、誰の賛同も得ないと思われた。が、意外にも陽子が同調して来た。
陽子 「私としても狩りをするのならして欲しいかな、今日は六人もいるし。正直、私カースキューブのノルマ、ちょっときついんだけど…」
翠 「え!あれってノルマなんてあるの?」
翠のその発言に、まどか以外の他の子は少し驚いて見せた。陽子は自嘲気味に言う。
陽子 「はは、翠ちゃんには分からないよね…」
翠は迷った。翠の中で継続と中止の天秤は丁度真ん中にあった。そんな時、
ほむら「でもやっぱり危険は冒せないでしょ、だから中止にしましょうよ。」
と、とても嬉しそうにほむらは中止を求めた。その発言は、ほむらがまどかに戦わせたくないが故に言っている事が明白だった。そしてそれは、翠自身が気付けない程の小さな嫉妬を生んだ。かくしてほむらの投げ込んだ言葉の小石は、翠の心の天秤に当たり、それを傾けたのだった。
翠 「もう少しだけ追ってみましょう、何か発見があるかもしれないし…」
それも正論だった。詠もほむらも反論の材料が無い。
一行が再び魔獣達を追い始めると、今度は容易に接近する事が出来た。逃げ足が急に遅くなったのだ。程なくして魔獣の一団に追い付くと、それが想像以上に小規模な集団である事が分かった。
唯 「何だよこりゃ。俺一人でも行けるぜ。」
そう言った唯は陽子の方を見て誘った。
唯 「ノルマ稼ぎと行こうや!」
それを受けて陽子は、一旦翠の方を見て確認を取った。翠としても行くなとは言えず、頷いて了解するしかなかった。
二人が飛び出すと詠は無言で動き出し、的確に二人を援護し始めた。
翠はほむらの方を向いて言った。
翠 「二人は周辺警護をお願いします。」
事実上の不戦容認指令で、まどかを気遣うほむらを気遣ったものだった。その言葉を残して、翠も魔獣の群れへと向かって行った。
地雪崩的に始まった戦闘は、ほぼ瞬殺状態で終わった。最後の一体を唯が陽子に譲って、それを陽子が倒すと束の間の静寂が訪れた。
唯 「やれやれ、中止にしなくて良かったぜ。」
唯は陽子にウインクして見せた。陽子は小さく頷いて、少し照れた。
と、次の瞬間。それは起こった。ほぼ魔法少女達を中心とする同心円上
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