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SECOND
第一部
第二章
第十五話『よく反省しておけ』
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していた。
ほむら「土下座でもして、謝ればいいのかしら?」
 その卑屈感のあるほむらの物言いは唯を狂喜させた。唯は罠に掛かって身動きの出来ない獲物を嬲るように言った。
唯  「いいねぇ、それ。是非ともやって頂こうじゃないですか。」
 詠はボウガンを構えながらも、そのやり方に嫌悪を感じていた。ほむらはゆっくりと膝を突き両手を地面に置くと、こぢんまりとひれ伏すように頭を下げた。そして何か魂が抜け落ちたように言った。
ほむら「申し訳、御座いませんでした。」
 詠はボウガンを構えるのを止めて立ち上がった。しかし唯は止めなかった。小さくうずくまるほむらの背中に片足を乗せると、上から怒鳴り付けた。
唯  「いいか、これは魔法少女としての責務を果たさなかったお前が悪いんだからな!これに懲りたなら、これからは心を入れ替えて義務を果たすようにするんだぞ!」
 詠はボウガンを下ろし二人のすぐ横まで来ると、わざと大きな声で言った。
詠  「唯、私はもう帰るから。」
唯  「詠、ちょっ…」
 詠は唯の確認など取る事なく行ってしまった。残されてしまった唯は、ほむらの上に乗せた足をぎこちなく引っ込めると、最後に捨て台詞を放った。
唯  「よく反省しておけよ!」
 そして詠を追うように、自分も魔法少女に変身してその場から消え去った。
 一人になったほむらだがすぐには動けず、それでも何とか老婆のように立ち上がると、よたよたと歩き出した。壁に体重を預けて擦らせるように伝いながらどうにか自分の部屋の前までやって来ると、まず踏まれた背中を手で払った。そして胸をドンドンと大きく叩いて深呼吸をした。おもむろに鍵を取り出して扉の錠を外すと、もう一度ドンドンと胸を叩いてから扉を開けた。部屋の中に入るとすぐに鍵を閉めた。そして更に深呼吸をしてから、それでも涙声になってしまいながらも言った。
ほむら「まどかー、大丈夫?」
 まず手を洗いそれから居間に入ると、まどかは泣き疲れてソファーで眠っていた。ほむらはそのまどかの寝顔をとても優しい表情で見ると、少しだけまどかの髪に触れ僅かに微笑んだ。そしてそのソファーの下に座り込むと、ほむらは静かにむせび泣いた。
 窓から差し込む夕日が居間の床を照らしていた。そこにキュゥべえの影が映っていた。

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