第一部
第二章
第十二話『温かくって柔らかくって優しくって』
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まどかの方に振り向いて見せた。詢子がほむらの視線につられてその方を見ると、まだ門の前に立っているまどかと目が合った。
詢子 「まどか…」
詢子はまどかを見ると、捉われたようにまどかから視線を外せなくなった。ほむらに呼ばれてはにかみながら、まどかはほむらの横にやって来た。
まどか「は、初めまして。まどかって言います。」
そう言って、ペコリと頭を下げた。そしてやっと視線を外せるようになった詢子は、二人を家の中に招いた。
詢子 「と、とにかく上がってよ。ね。」
二人はダイニングキッチンへと連れられた。まどかは懐かしげに家の中を見回した。
詢子 「ココアでいいかしら?今入れるから、取り敢えずそこに座ってて。」
席に着くと、まどかは愛惜しげにテーブルを撫でた。詢子はホットココアのカップを二人の前に置き自分も席に着くと、まどかをしげしげと見詰めてからほむらに尋ねた。
詢子 「えーと、まどかちゃんはほむらちゃんの同級生って事かな?」
ほむら「いえ、実はまどかには複雑な事情がありまして…」
その時、詢子の息子、タツヤが現れた。
タツヤ「まろか!」
タツヤは叫び、まどかに走り寄るとそのまま抱き付いた。
タツヤ「まろか!まろか!」
詢子はなぜタツヤがまどかの事を知っているのか不思議に思ったが、タツヤがまどかの髪を引っ張っていたのでタツヤを離そうと立ち上がった。
詢子 「ダメでしょタツヤ、女の人の髪の毛を引っ張っちゃ。本当にごめんなさいね。」
まどか「いえ、私は構いませんから…」
そう言ってまどかの方からタツヤをギュッと抱き締めた。その光景を見た詢子はタツヤがなぜまどかの事を知っていたのかなどどうでもよくなってしまい、呆けたようにまた着席するとぼんやりとそれを見ながらココアをすすった。
ほむらとまどかが帰ろうとすると、タツヤは酷くぐずった。ぐずるタツヤをあやしながら詢子は二人を玄関まで送った。
ほむら「今日は本当に突然、すみませんでした。」
詢子 「うんうん。是非また二人で遊びに来てよ、約束よ。」
ほむら「はい、有り難う御座います。そうさせて頂きます。」
まどか「それじゃあまたね、タツヤ君。」
そして二人は鹿目家を後にした。帰り道、二人は川べりの土手に座って夕日を見詰めていた。
まどか「ほむらちゃん。」
ほむら「なあに?」
まどか「やっぱり生きてるっていいよね。温かくって柔らかくって優しくって、生きてるって本当にいいよね。」
まどかの頬を涙が伝っていた。ほむらはまどかを軽く抱き寄せ、頭をくっつけて言った。
ほむら「うん、そうだね、まどか。これからずっと一緒に生きて行こうね。」
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