第一部
第一章
第九話『「おかえり」と「ただいま」』
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か。それでは君にも分かるように説明してあげるね。実は君の願いは戦闘などで傷付いて死ぬ事は無いという、予定調和的奇跡として叶えられていたのさ。それというのもね、この世の隠された摂理とか宇宙の深淵に潜む真実とかは、君が円環の理に導かれる事によって得られるからなんだ。つまり君の願いとは、魔力を使い果たして円環の理に従いたいって事と同じだったんだよ。だから僕は君が魔法少女になった時、出来るだけ君の願いを早く叶えてあげる為にこの廃工場の魔獣と戦う事を提案したんだよ。その僕なりの心遣いに、感謝して欲しいくらいなんだけどなあ。」
真理 「なっ…」
真理は絶句し、僅かに白いカチューシャを残してこの世界から消滅した。
? 「キュゥべえ!」
一件が落着し静寂がまた訪れると思われた時、またもキュゥべえを呼ぶ声が響いた。薄明かりの中、魔法少女達の前に現れたのは空納陽子だった。
翠 「えっ!陽子?どうしたの、なぜあなたがこんな所へ来たの?」
しかし陽子は翠の言葉を無視してキュゥべえに問い掛けた。
陽子 「あなたがインキュベーターのキュゥべえね。教えて、魔法少女になれば代わりに願いを一つ叶えるってホント?」
キュゥべえ「…ああ、本当だよ。」
陽子 「その願いで死者を蘇らせる事は出来ないってホント?」
キュゥべえ「…よく知っているね。死者の復活は深刻な因果律の改変に当たるからね。この宇宙を創り替える位の特異点にでもならなければその望みは叶わないよ。」
陽子 「そう…」
陽子は、予想はしていたがやはり残念だ、という感じだった。
陽子 「最後の質問なんだけど…私に魔法少女になる資格はある?」
キュゥべえは少しためらったようだったが、結局答えた。
キュゥべえ「空納陽子…どうやら君にはその資格があるようだね。」
その言葉を受けると、陽子は胸に両手を当てて目をつぶった。そして意を決したように瞳を見開くと、言い放った。
陽子 「インキュベーターよ、私は戦いの運命を受け入れ、あなたと契約して魔法少女となります。だから私の願いを叶えなさい。」
陽子は一呼吸入れ、続けた。
陽子 「時空の狭間に連なって存在する鹿目まどかを一人、この世界に転送して!」
ほむら「えっ?!」
ほむらは驚いた。この空納陽子という子がなぜまどかを知っているのか、そして時空の狭間に連なって存在するまどかとは何なのか、ほむらには訳が分からなかった。そしてキュゥべえにとっても、この事態は意表を突かれるものであった。なぜ陽子は自分や魔法少女の契約の事を知っているのか、そしてこの想定を超える願いの意味は何なのかと。
キュゥべえ「そんな願いが叶うものなのか…」
キュゥべえをしてその疑問ではあったが、その答えはすぐに出た。
陽子 「フグッ…うっうっうー…」
陽子は激しく苦し
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