第一部
第一章
第九話『「おかえり」と「ただいま」』
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ですか?」
マミ 「それは有り得ないわ。ここにはキュゥべえが人払いの結界を張っているもの。もし誰か入ってこれるとするのなら、それは…」
ウォォォン
今度は前方から魔獣の咆哮が鳴り響いた。それは普通の魔獣のそれとは違う、何か物寂しげにも聞こえるものだった。そしてその咆哮を合図にするかのごとく、廃工場の魔獣は一行に襲い掛かって来た。
廃工場の魔獣は以前とは打って変わってアグレッシブに攻撃をして来た。遂に本気を出して来たというような、あるいはまるで怒っているというような感じだった。普通の魔獣とは比べようもない程の速さと硬さと激しい攻撃は、若干虚を突かれた格好になった魔法少女の一団をあっさりと駆逐してしまった。散り散りに魔獣から逃げ去る魔法少女達。しかしその中にあって翠だけは、そんな魔獣の猛攻を華麗に躱し、あまつさえ弓矢で反撃をしてのけていた。
マミ 「凄いわね、翠…」
その凄まじいまでの廃工場の魔獣と翠の戦闘に、他の魔法少女達は少しついて行けないものを感じていた。
?
階段の近くで観戦しているキュゥべえは廃工場の魔獣戦とは別に、何者かが階段を駆け下りて来るカンカンという音が気に掛かっていた。廃工場の魔獣が突如狂暴になったのは、その者の所為かも知れないからだ。
キュゥべえ「何か大きな事が起こるかもしれないな…」
キュゥべえは予感を覚えた。
?
廃工場の魔獣は明らかに翠だけを相手にしていた。ほむらの矢も梨華の槍も効果が見られず、マミは銃ではダメージを与えられず、大砲では狙いを定められなかった。真理は虎視眈々とチャンスを狙ってはいたが、圧倒的なスピードの廃工場の魔獣に対してなかなかそれを見い出せずにいた。
翠はその攻撃を躱せはするものの、大技のメギドを放つまでの余裕は与えて貰えなかった。あるいはメギドの威力を知った廃工場の魔獣が、翠にそれを撃たせないように猛攻を仕掛けているのかもしれなかった。
やがて疲れ始めたのだろうか、翠の動きが段々悪くなってきた。
マミ 「このままじゃ、ジリ貧ね…」
梨華 「翠ちゃん、休ませてあげないと…」
翠は息が上がっていた。実際一人で戦っているようなものなのだから無理もなかった。如何に潜在能力が高くとも、翠は魔法少女としてはまだルーキーに過ぎない。上手い力の抜き方とか仲間の使い方とかは知らないのだ。もっとも、翠は潜在能力が高すぎるが故に自分の力を推し量れず、それを引き出す事が全く出来ていなかったのだが。
疲労の所為もあって動きが単調になった所を狙われた。翠が魔獣の後ろに回り込むように大きくジャンプした所に合わせて、魔獣は体を回転させ裏拳を出すように攻撃して来た。翠はそれを空中で何とか躱したものの、着地に失敗して転んでしまった。魔獣は尚もコマのように回
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