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SECOND
第一部
第一章
第八話『あなたの願いって何』
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「願い?」
亮  「うん。キュゥべえはどんな願いでもって言ってはいるけれど、本当は叶えられない願いも結構あるんだ。その叶わない願いの一つに死者の復活がある。死んだ人間を生き返らせる事は出来ないんだよ。」
陽子 「ふーん。」
亮  「それと魔法少女になれる子にも、格というか等級というかそういったものがあってね。とんでもないぐらい凄い願いを叶えるには、それを願う子の持つ潜在能力もとんでもなく凄くなくっちゃいけないんだ。」
陽子 「要するに、自分に見合った願いしか叶えられないって事ね。」
亮  「まあ、そういう事さ。ところがね、今のこの世界の前の世界でそのとんでもない願いを叶えてしまった子がいたんだ。その子はね、なんと宇宙そのものを創り替えちゃったんだ。前の宇宙を始めから無かった事にして、そっくりなんだけどちょっと違う今のこの宇宙を始めからあった事にしてしまったんだよ。」
陽子 「ふ〜ん…」
 正直それは、陽子には話が大きすぎてピンと来なかった。というかそもそも興味が持てない。
亮  「そのとんでもない願いをした子が、鹿目まどかっていう子なんだよ。」
陽子 「…その子の代わりが私なの?」
亮  「代わりと言ってもね、君にそのとんでもない力は無いんだ。だって君は命の数合わせの為に発生しただけの存在なのだからね。」
 陽子はその言葉が妙に腑に落ちた。やっぱり私なんてそんなものなんだと。
亮  「ちなみにインキュベーター達がこの魔法少女というシステムを作った訳はね、宇宙が熱的死を迎えてしまわないようにという理由からなんだけど…もっと詳しく話そうか?」
陽子 「うーん、それはいいや。それよりあなたの事を教えてよ。あなたは一体何者なの?」
亮  「僕かい?僕はねぇ、前の前の世界でとんでもない願いをして、宇宙を書き換えた魔法少年だった者だよ。」
陽子 「え!?」
 亮は柵から立ち上がり、再び陽子の許へ来ると改まって言った。
亮  「陽子、君にお願いがある。とは言っても、君に僕の願いを聞く義理は全く無いんだよね。ああそうだ、これ少ないけど受け取ってよ、どうせ僕には必要のない物なんだから。」
 そう言って亮は、また三千円を陽子の手に握らせた。
亮  「また温かいご飯を食べさせたら喜ぶと思うよ。」
 陽子はなぜあなたがそんな事知っているのか≠ニも思ったが、それ以上に温かい食事に喜ぶ両親の顔が見たかった。
陽子 「それで…あなたの願いって、何?」

  ?

 陽子は自宅に近い弁当屋でホカ弁を買うと家に急いだ。出来るだけ温かい状態で持ち帰りたかったからだ。しかし自宅の側までやって来ると違和感を覚えた。いつも停まっている債権者の車がいなかったからだ。不思議に思いながらも玄関を開けると、両親の靴があったので、陽子は良かったと思った。
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