第一部
第一章
第七話『この世の盾となり』
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い大いなる勘違いで願いをする事となった。
翠 「キュゥべえ、いいかしら?」
キュゥべえは振り向きもせず言った。
キュゥべえ「何だい?」
翠 「私はこの世界を守る守護者となりたい。切っ先を受け矢が刺さり何時かは砕け散るのであっても、私はこの世の盾となりたい…」
キュゥべえの尻尾がピンッと立った。
?
ほむらに最期が迫っていた。魔獣の一撃を受け地面に叩き付けられた彼女は、もう動く事が出来なくなっていた。魔力を使い果たして円環の理に導かれれば、あるいはまどかにまた会えるのかもしれないが、死んでしまった場合その可能性はあるのだろうか。しかしこの時のほむらにあったのは、ただひたすらにあの廃工場の魔獣を、いやワルプルギスの夜を倒すの一念のみであった。振り上げられた魔獣の拳がほむら目掛けて振り下ろされた。
ほむら「ごめんね、まどか。またあいつを倒せなかった。ごめん…」
ほむらが観念したその瞬間、ほむらは何かに激突されたような衝撃を横から受けた。ほむらはすぐに、自分が誰かに抱きかかえられている事に気付いた。自分を抱きかかえ、その場から退避させたその人の顔をほむらは知っていた。それは葉恒翠だった。
廃工場の魔獣の拳が何も無い地面を叩き砂塵を舞い上げると、その中からほむらを抱いた翠が飛び出していった。
ほむら「翠?!」
ほむらを救ったのは魔法少女になった翠だった。翠はほむらに笑顔で応えると、物凄い速度でキュゥべえのいる階段の近くに行き、そこにほむらをそっと降ろした。そしてすぐにそこから引き返し魔獣へと向かうと、今度は追って来た廃工場の魔獣に自分の弓で矢を三本立て続けに撃った。その矢は廃工場の魔獣に当たると、それを僅かに怯ませた。
キュゥべえ「おお!これは…」
その矢の威力にキュゥべえは色めいた。更に翠は前の三本の時よりも大きく弓を引いた。するとその矢の先に魔力の光輪が現れた。そして言葉と共にその矢を放った。
翠 「メギド!」
その瞬間、凄まじい衝撃波が翠の許から発せられ、辺りに突風を巻き起こした。射られた矢は光輪を掲げながら廃工場の魔獣に向かって行った。魔獣はその矢に即座に対応してシールドを重ね置いた。しかしその矢は全てのシールドを粉砕し魔獣に直撃した。
シールドは矢の威力をかなり削ぎ落としたようだったが、それでも今までに無い程の大打撃を与えたようで、魔獣は大きくよろめくと退散して行った。
キュゥべえ「いやまさか、ここまでとはね…」
キュゥべえはとても満足そうにほくそ笑んだ。翠は深追いはせず、へたり込んだほむらをまた抱き上げると、階段を一目散に駆け上がって行った。
?
陽子は一人寂しく家路を辿っていた。夕日に照らされながらトボトボと歩いていると、不意に頭上から少年の声がした。
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