第一部
第一章
第六話『廃工場の魔獣』
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杏子のねぐらにキュゥべえがやって来た。
キュゥべえ「なあ杏子。僕は名波梨華を見滝原に呼ぼうと考えているんだけど、君はどう思う?」
杏子 「えっ、梨華をか?…私は構わないけどよ、それってどっちかって言うとマミの方に御伺いを立てた方がいいんじゃねえのか。」
キュゥべえ「うん、僕もそう思ってね。実はマミにはもう承諾を貰っているんだ。」
杏子 「フッ、そういう根回しだけは早えンだよな、お前って。で、梨華を呼んでどうすんだよ?」
キュゥべえ「廃工場の魔獣を、狩ろうと思っているのさ。」
?
町外れの廃れた工業団地の一角に、ほむら、マミ、杏子、真理、それと翠が集まっていた。
ほむら「翠、どうしてあなたがここにいるの?マミ、あなたが連れて来たのかしら?」
キュゥべえ「ほむら、翠を呼んだのは僕だよ。」
ほむら「キュゥべえ、なぜ彼女をここに呼んだの?」
キュゥべえ「いやぁ、僕としても翠がどうするのか早く決めて欲しくてさ。駄目なら駄目で諦めるつもりなんだけどね。」
今のマミには翠を諫めるほむらを止める気は起こらないだろう。そして今ほむらが翠に魔法少女にならないように諭せば、翠はきっと素直にそれに従っていただろう。しかし今のほむらにはそこまでする程の義理を翠に対して持てなかった。ほむらは好きにすればいいといった感じで翠に一瞥をくれるだけだった。そこに梨華がやって来た。
梨華 「杏子さん!」
梨華は現れるなり杏子に抱き付いて来た。しかしすぐにマミを見つけると、表情を硬くして身構えた。
杏子 「梨華ぁ、まあそんなに構えんなって。今は味方だよ、私が保証するぜ。」
梨華 「分かってはいますけど…」
杏子 「あー、そっちの三人は初見だよな。こいつは名波梨華。まっ、私より信用出来っから安心しろや。」
真理 「そうは言うがね、これから命懸けの戦いを一緒にするって仲間が、何やら曰くを持っているのは何とも不安を掻き立てるものなのだよ。その辺りをオープンクリアーにしては頂けないものかね。」
ほむら「そうね、私も知っておきたいわ。どうなの、マミ?」
マミ 「私は構いませんけど…」
マミがそう言って杏子と梨華の方を見た。梨華は相変わらずマミを意識して身構えていた。杏子がやれやれといった風に、
杏子 「私だって構いやしないさ。昔の事だぜ。」
と言うと、それを聞いた梨華はやっと体の力を緩めて話し始めた。
梨華 「では私から掻い摘んでお話しさせて頂きます。私、昔孤児院にいたんです。捨て子だったんです。民間の孤児院だったんですけど、悪い人達から狙われて乗っ取られそうになったんです。でもその時、杏子さんが現れて助けて…くれたんです。」
ほむら「まさか魔法少女の力を使って?」
梨華 「…はい。御存じだとは思いますが、それは魔法少女にとって
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