第一部
第一章
第六話『廃工場の魔獣』
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の中に消えて行った。そして梨華の泣き叫ぶ声が暗闇から鳴り響いた。
マミ 「撤退よ!撤退するわよ、みんな!」
マミは叫んだ。ほむらもここへ来て正気に戻った。真理は、泣きながら杏子の亡骸に縋り付く梨華から、それを取り上げて梨華を誘導した。四人は階段の所まで退却したが、廃工場の魔獣は追っては来なかった。
真理 「力仕事は得意じゃないんでね。」
そう言いながら、真理は担いでいた杏子の遺体をゆっくりと降ろした。梨華はすぐにそれに擦り寄ると、またシクシクと泣き始めた。
梨華 「私の所為で…私の所為で…杏子さんが…」
真理 「さて、それはどうかな?」
真理はほむらの方を見た。ほむらは俯き加減に目を逸らした。
マミ 「とにかく今は退きましょう。何も言わず誰も責めず、まずはこの場所から離れましょう。」
梨華は肩を脱臼し、足も引いていた。そこで真理が梨華を支え、マミとほむらが杏子の遺体を運ぶ事にした。
長い帰り道だった。上りで大荷物があり、何より心が重かった。
どうにか出口までやって来ると、重たい鉄の扉を何とか開けて一行は外に出て来た。全員疲れてぐったりしていた。
翠 「み、皆さんどうされたんですか!」
翠の問いに誰も答えてはくれず、翠はどうしていいのか分からずオロオロするしか出来なかった。
やがて梨華が口を開いた。
梨華 「キュゥべえ、杏子さんをご家族の許へお願い出来ますか?」
キュゥべえ「勿論だよ。杏子の遺体は僕が責任を持って処置をして、御家族のお墓に安置しておくよ。」
?
再び静けさを取り戻した廃工場の奥底に、一人の少年がいた。彼は廃工場の魔獣の前まで来ると言った。
少年 「やあ。久し振りだね、姉さん。」
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