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SECOND
第一部
第一章
第六話『廃工場の魔獣』
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て来た。その建物は奇妙な形をしていた。窓などが見受けられない円筒形のその建屋は、一見すると石油貯蔵タンクに似ていた。そしてその建物全体からは僅かばかりとはいえ、禍々しい瘴気が発せられていた。
キュゥべえ「マミと杏子以外は初めてだね。梨華は話ぐらい聞いた事あるのかな?」
梨華 「いいえ…」
ほむら「マミ、杏子、どれ位なの?」
マミ 「うーん、そうねぇ…一体だから気を付けていれば、それ程やられる心配は無いのだけれど…かなり動きが速いわね、他のと比べるとまるで別物ってくらいに。後なんて言うか…歯が立たないっていうか…固いのよね。」
杏子 「そうそう。シールドを避けて直撃させても、ビクともしねえんだよ。」
 その話を聞いて真理はほくそ笑んだ。ほむらは少し考えてから翠に言った。
ほむら「翠、あなたやっぱり一緒に来るべきじゃないわ。あなた自身への危険もそうだけど、足手纏いになって私達の負担になるのは避けて欲しいの。どお?」
 ほむらは翠を呼んだキュゥべえにではなく、あえて翠本人に説いた。
翠  「…はい、そうします。」
 ほむらにそう言われては、翠は降りるしかなかった。
翠  「…あの…ここで皆さんをお待ちしていても宜しいでしょうか?」
 これで翠の問題は済んだと言わんばかりにほむらはキュゥべえに問うた。
ほむら「ところでキュゥべえ、この辺りにはもう?」
キュゥべえ「当然だとも。いつものように人払いの結界を張っているから、ここは安全だよ。」
ほむら「翠、聞いたでしょ。好きになさい。」
 マミと杏子がその建物の通用口と思われる錆び付いた鉄の扉を開けると、そこから瘴気が溢れ出て来た。全員に緊張が走る。
マミ 「中は外壁に沿って大きな螺旋階段になっているの。暗いから気を付けてね。」
 そう言うと、マミは先陣を切って中に入って行った。すぐに杏子が続き、それを梨華が追った。
翠  「皆さん、どうか御無事で。」
 翠の言葉に気を取られたほむらの前に、割り込むように真理が通用口の中に消えて行った。最後にほむらは扉に手を掛けて、それを閉めながら翠に一瞥をくれて入っていった。
 そのがらんどうの建物の中は照明等は見当たらないが、何故か底の方から淡い光が湧いて来ていた。そのおかげか僅かに周囲が見え、階段を下りる事が出来た。天井は見えないが、空も見えないのでおそらく屋根は付いていると思われた。小さな野球場程はある円周と微妙な角度で降る階段が、本当に底の方に近付いているのか不安にさせた。しかし暫く歩いていると少しずつ変化が訪れた。
マミ 「この中に魔獣に襲われて結界の中に取り込まれた人っているかしら?この段々と結界の中に入って行く感じって、魔獣に襲われた時に近い感じらしいんだけど。ほむらはどう?」
ほむら「いえ、私は魔獣に襲われた事は無いわ…」

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