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SECOND
第一部
第一章
第五話『特別な魔法少女』
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 日富家の父と娘が二人で優雅な朝食を取っていた。父は娘に話し掛けた。
父  「昨日は、随分と帰りが遅かったようだが…」
 麗子は内心、ビクッとした。
麗子 「昨日は進路指導がありましたから…」
父  「しかし学校の話では、それ程遅くまではやっていないとの事だが…」
 麗子は勝手に観念した。
麗子 「…実は…その後、お友達に招かれてお茶を御馳走して頂きましたので…」
父  「そうか…楽しかったか?」
麗子 「ええ、とても有意義な時間でした。」
父  「うむ。」
 父は娘を信じた。今まで通りに。だが娘は父を信じられなかった。
 麗子は思った。
 (お父様はきっと私の行動を制約してくる!)
 麗子は食事を終え自室に籠ると、その考えに益々囚われて行った。勝手に自分で追い詰まる麗子が呪文のように呟く。
麗子 「今が飛び立てる最後のチャンスかもしれない…」
 ふと麗子が自室のテラスへ目をやると、白い猫のような生き物がいた。麗子は暫く見詰めてから、それが昨日会ったキュゥべえであることに気付いてテラスの戸を開けた。
麗子 「キュゥべえさんでしたね。今、言葉通じるのかしら?」
キュゥべえ「うん、大丈夫だよ。やはり君は覚えているようだね。」
 実はキュゥべえは麗子の記憶を消しに来たのだった。しかし今の麗子はお尻に火が付いて積極的になっていた。
麗子 「ねえキュゥべえさん。私には魔法少女になる資格…無いのかしら?」
 基本的にキュゥべえには黙秘はあっても虚偽は無かった。それにどうせ相手は記憶が消されるのだ。
キュゥべえ「うん、日富麗子。君には魔法少女になる資格があるとも。」
 麗子は念を押した。
麗子 「私は魔法少女になれますの?」
キュゥべえ「うん、なれはするよ。」
 麗子にとってそれは、生まれて初めての跳躍だった。
麗子 「キュゥべえさん、私は魔法少女になりたい。私を魔法少女にして下さい。」
 キュゥべえは首をかしげ、尻尾を何度か振ってから答えた。
キュゥべえ「君は…君にはその魂と引き換えに叶えたい願いがあるのかい。戦いの運命を受け入れてまで願う祈りがあるというのかい。僕にはそうは見えないなぁ。君は魔法少女になること自体を求めているようだけど…」
麗子 「えっ、それではいけませんの?」
キュゥべえ「いけないって事はないんだけど…何と言うか、良い結果をもたらさないんだよね。」
 キュゥべえは尻尾をピンと立てると、ニッコリ顔をして麗子に言った。
キュゥべえ「君はこの国の、いやこの星の平均的な人間からすれば、圧倒的に恵まれた立場にいるよ。上位1%内に入っているんじゃないのかな。そんな何もかも持っている人間が、何もかもを捨ててまで魔法少女になるなんて、合理的ではないよね。損だよ。」
 しかし今の麗子に合理性を説くのは、
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