第一部
第一章
第四話『高尚な我が願い』
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夕方になって学校が終わると、麗子は帰路に就いた。今日は進路指導の件でいつもより遅くなっていたが、勿論その事は家の方にも伝えられていた。以前は車で送迎されていたが、麗子のたっての願いで取り止められていた。それでも一緒に帰るような友達は出来なかった。
麗子は部活動などはした事が無かった。友達らしい友達もいたためしが無かった。独り道を歩いていると、様々な思いが去来して来る。不満が口から零れ落ちた。
麗子 「私は本当は何でも出来るのに…」
麗子はずっと自分を抑圧して来た。その結果、彼女は何も出来ない人間になってしまっていた。だが何もした事の無い彼女はそれ故に挫折を知らず、自分はやれば何でも出来ると信じていた。それが彼女の心の唯一の支えでもあった。
麗子 「私は一人でも生きて行けるのに…」
彼女に生活力は全く無い。
麗子 「日富家という存在が私を縛り付けている…」
それは一理あった。
麗子 「…ここは、どこ?」
麗子は魔獣空間の中に入り込んでいた。麗子はすぐに振り返ったが、後ろに道は無かった。やがて巨大な魔獣が現れ、麗子に向かって来た。麗子は本能的に逃げ始めたが、遅く直進的であったが為に、すぐに魔獣に詰め寄られた。魔獣が腕を振り上げた時、銃声のような音がして魔獣が怯んだ。更に怯んだ魔獣に矢が突き刺さり、その魔獣は崩れながら倒れた。
? 「こっちです。」
声と共に誰かが手を引いた。麗子がそちらを見ると女の子が自分の手を掴んでいた。
麗子 「あ、あなたは?」
? 「とにかく急いで。こっちです。」
その少女に引かれるままに麗子は走った。そして少し離れた物陰まで辿り着くと、その少女は話し始めた。
翠 「私は葉恒翠って言います。見滝原中の一年生です。信じられないでしょうがここは異空間で、あの巨大な白い僧みたいなものは魔獣と言う人類の敵なんです。そして、今その魔獣と戦っているのは魔法少女という選ばれた戦士達なのです。」
麗子 「そう…なの…有り難う。」
麗子には戸惑いこそあれど、驚愕や取り乱しは無かった。これまでの受け身の人生があらゆる事態を受け流せるようにしていたのだ。もっともそれは良家の子女にとっては極めて有用な資質であり、彼女がこのままの人生を歩む事こそが最良の選択である所以の一つでもあった。
その魔獣との戦いに真理が参戦して来た。先にいたマミとほむらに対し後れを取る形でやって来た真理は、それを取り戻すかのように積極的に魔獣に向かって行った。近接武器の真理が前に出張ると必然的に飛び道具を使う二人は後方からの支援に回る事となり、その結果粗方の魔獣は真理によって撃破される事となった。その場の敵を全滅させると、真理は得意げに二人に問うた。
真理 「いかがかな、私の戦いぶりは?」
ほむらは内心、不必要に前に出られ
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