第一部
第一章
第三話『私達はもうお友達』
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しかしやはりあれは夢でも幻覚でもない、事実だ!
翠は我に返ったように急に真剣な顔になった。そしてほむらの方を見た。だがほむらはそっぽを向いている。そこですぐにマミの方を見た。マミはやはりニコニコして翠を見ていたが、翠の視線を受けると右手の袖を捲りながら言った。
マミ 「まあ、これが証拠って訳でもないんだけどね。」
マミの右手首の下には花のような形をした痣みたいな模様があった。それにはほむらも関心を持ったようで視線を向けて来た。それを見たほむらは少し意外そうな顔をしていたが、マミがそんなほむらに目を向けると、慌てたようにほむらの方が視線を外した。
キュゥべえ「まあ、すぐに答えを出す必要は無いよ。考えておいてよね。」
キュゥべえはそう言うと、テーブルから降りて部屋を出て行こうとした。
マミ 「あら、もう行くの?」
キュゥべえ「うん、ちょっと別の用事が出来たようなんでね。」
キュゥべえは何か含み有り気に言って、去って行った。
翠は紅茶を一口飲んで、少し心を落ち着かせてから言った。
翠 「お二人は魔法少女なんですね。」
その問い掛けにも、ほむらはそっぽを向いたままだった。
マミ 「ええ、そうよ。」
翠 「魔法少女とは…一体何なのでしょうか?」
マミ 「うん。あなた不思議な空間で白い巨人に襲われたでしょ。あれはね、私たちが魔獣と呼んでいるものなの。魔獣はね、憎しみや悲しみ、恨み、妬み、怒り…そういった人の負の感情が具現化したものなの。それでね、あいつらは時々、心が乱れたり弱ったりして隙を作った人間を自分達の結界の中に取り込んで殺してしまうの。だからそれを出来るだけ未然に防ぎ、魔獣達を倒しているのが私たち魔法少女達なの。」
翠は目を輝かせ興奮し、テーブルに両手をついて乗り出すようにして叫んだ。
翠 「素晴らしい!正義のヒーロー…じゃなくて、ヒロインですね。カッコ良いです!」
その時、上気した翠に冷や水を掛けるようにほむらは声を上げた。
ほむら「そんな甘いものじゃないの!」
驚き固まる翠に、ほむらは続けた。
ほむら「魔法少女はね、戦いの中で死ぬの。御都合主義的に一方的に勝てる訳じゃないの。つい最近も一人死んだばかりだし、私もいつか殺されるの。実際、カッコ良くなんて無いの。過酷で悲惨なものなのよ、魔法少女って奴は!」
ほむらは鋭い眼光で翠を睨んだ。翠の温まった心は一瞬で凍結され、翠自身に自分などでは務まらない大役であると思わせた。それは他人からあなたには出来ないと言われるよりも確実に、魔法少女になろうとする気を翠から削ぎ取った。
だが、翠を救おうとするそんなほむらとは対照的に、マミには別の思惑があった。
マミ 「まあ、そうなんだけれど…」
マミは優しい笑顔で翠を包み込んで言った。
マミ 「それは
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