第一部
第一章
第三話『私達はもうお友達』
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があったと推測され、そのような質問は差し控えるべきだからだ。翠には知る由も無いが、ほむらの翠に対する評価が更に下がっていた。
マミは翠のカップに紅茶を注ぎながら話し出した。
マミ 「私の両親がね、独立して自分達のお店を出す事になったの。それでそのお店の落成式にね、車で両親と一緒に私も向かっていたの。そしたら交差点で、信号無視をして来た大型トラックに横から突っ込まれちゃってね。」
マミは淡々と話しながら、最後に自分のカップに紅茶を注ぎ始めた。
マミ 「直感的にね、両親はもうダメなんだって分かったの。そして私自身もね、足の先から冷たくなって来るのが分かったの。ああ、このまま両親と一緒に死んでしまうんだなぁって。でも、私はやっぱり嫌だった。死にたくないって思った。まだやってみたい事がたくさんあったの。そしたらその時にね…」
ほむら「マミ!」
ほむらはマミを制した。その目はこれ以上余計な事を言うなと語っていた。
? 「だから彼女には資格があるんだって。」
翠は明らかに二人とは違う声がしたので、思わず後ろを振り向いた。確かに聞こえたし、その声も初めて聞いた気がしなかった。後ろから聞こえた気がした。しかしそこにはソファーがあって、その上に茶色いクマとピンクのウサギと白いフェレットのぬいぐるみが置いてあるだけだった。一瞬、翠はデジャビューを感じた。ソファーの向こうに誰かいるのだろうか、それともテレビか何かの音がしたのだろうか。
翠は困惑しながらもゆっくりと前に向き直した。マミはニコニコしていたが、ほむらはあきれ顔をしていた。
すると翠の右手後方からテーブルの上に白い小動物が乗って来た。翠は少し驚いて猫?フェレット?≠ニ思ったが、そのどちらとも違う事をすぐに理解した。その白い小動物はテーブルのほぼ中央に位置すると、翠の方を向いてお座りをした。
? 「やあ、僕はインキュベーター。キュゥべえって呼んでね。」
翠 「はあ…」
翠は生返事をすると再びマミとほむらの方を見た。相変わらずマミはニコニコしていたが、ほむらは向こうを向いてしまっていた。
翠は合点した。
(そうか、マミさんは両親はいなくとも、きっと祖父母がお金持ちで御嬢様なんだ。それでその道楽として私はからかわれているんだ。きっとこの小動物も高性能なロボットか何かなんだ。だからほむらさんがさっきから不機嫌そうなのも、きっとその遊びに付き合わされているからなのだ。)
キュゥべえ「葉恒翠、僕と契約して魔法少女になってよ。どんな願いでも一つ叶えてあげるからさぁ。」
魔法少女!?
翠はその言葉を聞くと急に思い出した。あの不思議な白い世界を、白い巨人達を、華麗に戦うほむらとマミを。ついさっきの事なのに、あまりに非現実的であったから夢だとでも思い込んでいたのだろうか?
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