暁 〜小説投稿サイト〜
SECOND
第一部
第一章
第三話『私達はもうお友達』
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った。ちょっとしたビルくらい、15m〜20m程の大きさの、真っ白な仏教徒の僧侶のような姿をしたそれは、翠の眼前約10mといった所まで来ると、その巨大な腕をゆっくりと振り上げた。翠はただただ呆然と立ち尽くし、ぼんやりとそれを見詰めていた。巨大な腕が頂点へと達すると、当然の物理法則の如くその腕は振り下ろされた。その巨大な拳が翠の直上から級数的加速度を以て迫って来た。翠は一瞬、寂しさか悲しさのようなものを感じたが、体は微動だにする事は無かった。
?  「何をしているの!」
 そう聞こえた瞬間、翠は何かに激突されたような衝撃を横から受けた。ゴロゴロと地面を転がった後、自分が誰かに抱きかかえられている事に気付いた。自分の上に覆い被さるようにいるその人の顔を翠は知っていた。それは暁美ほむらだった。
ほむら「死にたくないのなら、今すぐ立ち上がりなさい。」
 そう言って、ほむらは立ち上がった。左手に弓を持ち、セーラー服と言おうか教会の聖歌隊のような服と言おうか、少し不思議な格好をしたそのほむらは、信じられない跳躍力で跳び上がると、矢を巨大な白い僧に放ちながら向かいの塔の上へと着地した。
?  「ほらっ!」
 呆気にとられている翠に、声と共に手が差し伸べられていた。手の主を見ると、銃を持ったマーチングバンドのような格好の少女だった。翠はこの少女の顔もどこかで見たような気がした。
 その時、ほむらがこの少女に向かって叫んだ。
ほむら「マミ、早く!」
 マミ?そうだ!
 翠は思い出した。この人は以前話し掛けられた事のある、見滝原中三年生の学年トップの巴マミだったと。
 翠がぎこちなく震える手でマミの手に触れると、マミはその手を力強く握り返し、ぐっと引っ張って翠を引き起こした。
マミ 「ほむら、今行くから。」
 マミはほむらに叫ぶと、翠の方を向いてニッコリと笑顔を見せた。そして白い僧が現れたのと反対の方を指差して、
マミ 「あっちの方が安全だから。」
 と言うと、やはり凄いジャンプ力で空高く舞い上がり、銃で白い僧を撃ち始めた。
 翠が改めて周りを見ると、最初に見た白い僧とは別に、様々な大きさの白い僧達がいつの間にか存在していた。何だか訳が分からないまま、翠は言われた方へとヨロヨロと歩き出した。後方から、あの白い僧のものと思しき不気味な咆哮と、炸裂音が聞こえていた。
 近くの塔の裏側に辿り着くと、翠はへたり込んでしまった。翠はなぜか眠かった。このまま意識を失ってしまえばどんなに楽であったろうか。しかし強力な好奇心がそれを許さなかった。翠は震えながら、恐る恐る塔から顔を出して今来た方を見返してみた。そこではほむらとマミが華麗に宙を舞いながら、白い僧を撃破している光景があった。翠はそれに美しさを感じた。

  ?

 気が付くと、翠は公園
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