第一部
第一章
第二話『人魚姫なんて大嫌いなのに・・・』
[9/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ねーか。」
仁美 「何ですかそれは!あなた、さやかに何か吹き込まれましたの?それともそう言うようにさやかに頼まれたとでも仰るの?」
杏子 「違うよ、そんなんじゃないんだ。なんつーか、中学の間だけあいつに貸しておいてくれ、みたいな…」
仁美 「何ですの、ふざけているのですか。」
杏子 「ふざけちゃいねーよ。…だけどよ、おめーさんだってさやかが恭介の事好きだって知ってて告白するって言ったんだろ。それってちょっと酷くねぇか。」
仁美 「あなたに…あなたなんかに何が分かるって言うの。私がその事でどんなに悩んだか、どんなに苦しんだか分かるって言うの?私は…私は本当にその事で悩んで…それで藁をも掴む思いで、見ず知らずのチャットの相手にまで聞いてみましたのよ。でも相手の方も結構真剣に考えて下さったみたいで、暫くしてこう答えられたの。自分の人生なんだから、欲しいのなら奪い取ってでも手に入れるべきだって。」
杏子 「なっ…」
その答えを聞いた杏子は、ガツンと殴られるような衝撃を受け、頭が真っ白になった。
仁美 「あなたは人に言われて決めるなよ、とか仰りたいんでしょうけど、あくまでも最終的に決めたのは私の意思ですの。勿論、その言葉に大いに後押しされたのは事実ですけれども…」
杏子にはもう、この仁美に言える言葉なぞ無かった。へたり込みたい気持ちを抑え、辛うじて立っている杏子に仁美は続けた。
仁美 「もう余計なおせっかいはお止めになって。そしてさやかにお伝えくださいな。人を使って言わせていないで、言いたい事があるのなら自分で言いに来いって!」
そして立ち尽くす杏子を残して、仁美は去って行った。
?
人気の無い電話ボックスの中で、杏子はべそを掻きながら梨華に電話を掛けた。
杏子 「ああ、梨華か。私だ、杏子。・・・それがさあ、私とんでもない失敗をしちゃってさ。・・・うんうん、そうじゃなくって。実はこっちで知り合った子の事でさ。・・・いやー。ほら、最後にお前んち行った時さ、お前チャットしてたろ。そん時に私が欲しいものは奪い取れって言ったじゃん。それが災いしちまってよー。・・・そうなんだけどよー。・・・うん、まあ、あるかな。・・・そうだよな。もう、そうするしかないよな。・・・ああ、ありがとな、梨華。やれるだけやってみるよ。・・・ああ、じゃあ。お休みな。」
受話器を置いた杏子は自分に言い聞かせた。
杏子 「よ〜し。やれるだけの事はやるぞ…」
?
翌日、杏子は公園に行くとキュゥべえを呼んだ。
杏子 「おいキュゥべえ、いねーか?」
するとキュゥべえがベンチの下からひょっこりと出て来た。
キュゥべえ「何だい、杏子。」
杏子 「あのよー、ちょっと変わったお願いがあるんだけどよー…」
キュゥべえ「ふ〜ん。で、何
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ