第一部
第一章
第二話『人魚姫なんて大嫌いなのに・・・』
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やかの親友で仁美って奴がいるかって事なんだよ。・・・ああ、そうだったな、悪かったよ。・・・後よ、恭介って誰だか分かるか?・・・だからそうだろうけど、私が言ってるのはさやかの幼馴染の奴でさあ。・・・えーえーそうでしたよねえ。私が悪ーござんしましたね。それで知っていらっしゃるのでございましょうか!・・・そうですが、それはどうも。は〜あ。それで、その二人に会いたいんだけどよ、何とかなんねえかな。・・・あーあーそうでございましょうとも、すみませんねえ。だからその二人の家の住所とか、よく行く場所とかを御存じありませんかって事ですよ!・・・それを是非お教えくださいませ。・・・病院?なんでまた?・・・そうか、それで。・・・そんな。じゃあ、さやかの願いって。・・・何だよ、それ。・・・ああ、ありがとな、ほむら。」
杏子は受話器を置くと、その手をそこに掛けたまま下を向き、少しの間さやかの気持ちをおもんばかって動けなかった。しかし突然として顔を上げると、両手を前に伸びをしながら声を上げた。
杏子 「よっしゃ!ここはこの私が一肌脱いでやっとすっか!」
?
日を改めて、杏子はほむらに教えて貰った病院へ行った。ナースセンターで恭介の病室を聞き、その部屋の前までやって来ると、部屋の中から声が聞こえて来た。
仁美 「それで明日の退院って、いつぐらいなのかしら?」
恭介 「うん、朝の検診のすぐ後だから…まあ午前中だとは思うよ。」
仁美 「そう、なら日暮れ頃だから来れそうですわね。でも無理はなさらないでね。」
恭介 「勿論しないさ。でも今は、とにかく弾きたくってうずうずしてるんだ。」
仁美 「うふふっ。では明日、来られたらホールで。」
恭介 「うん、ホールで…。あのさぁ仁美、さやかが来なくなったのって、やっぱり…」
仁美 「…ええ、気になりますの?」
恭介 「いやぁ、さやかにも随分迷惑掛けちゃったしさ…何て言うか、申し訳なくって…」
仁美 「そう…」
恭介 「いや御礼だけ、御礼だけは言っておきたくってさ…」
仁美 「そうですわね、でもまた今度でいいでしょう。だっていつでも出来るのですから。」
恭介 「そうだよね、いつでも出来るよね…」
仁美 「それでは、恭介さん。また明日。」
恭介 「ああ、また…」
仁美が病室から出て来ると、杏子が仁美を呼び止めた。杏子はすぐにあの日さやかと共に救った顔だと思い出し確信した。
杏子 「あんた、仁美さんだろ。」
仁美 「どなた?私に何か?」
杏子 「まあ、なんつーか…さやかの事でちょっといいか?」
仁美 「さやか?…ええ、構いませんわよ。」
仁美はそう言うと、仁美の方から杏子を病院の屋上に連れだった。
仁美 「それで、何なのかしら?」
杏子 「まあ、なんてーかさ…恭介の事は暫く諦めてくん
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