第一部
第一章
第二話『人魚姫なんて大嫌いなのに・・・』
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でなくその資格を持っている子の潜在的な力量をもある程度知る事が出来た。しかしその時、その翠という子からは何も感じられなかったのだ。
翠 「あのー…」
マミは自分が翠を凝視してしまっている事に気付き、微笑みを作って言った。
マミ 「あっ、御免なさい。…実は私の知り合いの子に同じ名前の子がいてね、その子かと思って会いに来てしまったの。でも違ったようね。ホントにごめんなさいね。」
翠 「はあ…」
マミはその場からそそくさと去って行った。
マミが去った後、翠の横にいた空納陽子(あきな ようこ)が翠に話し掛けて来た。
陽子 「翠。今の人多分、三年生の巴さんじゃないかな。」
翠 「誰?その人。」
陽子 「巴マミって言って、確か三年間ずっと学年成績トップだった人だよ。」
翠 「へー、凄い人なんだね。」
そして二人はマミの事をそれ以上気に掛けるでもなく歩き出した。
?
さやかは充実を感じていた。日に日に良くなってゆく恭介、ぎこちないながらも縒りを戻せた仁美、魔法少女として人助けとなる魔獣との戦い。そんなある日の放課後、何だか緊張した面持ちの仁美から声を掛けられた。
仁美 「さやか…ちょっといいかしら…」
さやか「何?仁美…」
仁美 「あのね…実はね…私…」
仁美はとても言い難そうにした。
仁美 「…。御免なさい…やっぱり何でもないわ…」
さやか「そうなんだ…」
さやかは努めて明るく、気にも留めない風に答えた。だが仁美はさやかを振り切るようにその場から去って行った。
今のさやかにとっての一番の気掛かりは仁美の事であった。しかし幸運な事に、さやかには魔法少女としての任務があった。何が他にやる事があると、悩み事から気が削がれるものだ。
その日は恭介の見舞いには行かない日だった。本格的なリハビリが始まって恭介も忙しくなってしまったのだ。さやかが何気に街をぶらついていると、偶然にもゲームセンターの前で杏子に出くわした。
杏子 「よう、さやかじゃねぇか。こんな所で何してんだ?」
さやか「別に。何か用があるって訳じゃないんだけどさ、ちょっと時間があるから何となくブラブラしてたんだ…」
杏子 「何だ暇してんのかよ。だったら一緒に遊ばねえか?おごってやんぜ。」
さやかは何となくだが、この杏子という子が苦手な気がしていた。しかしだからこそ、その苦手意識を克服すべきだと考え、杏子に付き合う事にした。
さやか「うん…じゃあ少しだけ。」
杏子 「へへ、そう来なくっちゃ。」
二人はゲームセンターで遊んだ。さやかはなんだが久し振りにはしゃいだ気がして、そのまま日が落ちるまで遊び続けた。だが、クレーンゲームで商品を物色している時、二人は魔獣の気配に気が付いた。
杏子 「おい、さやか!誰か近くで襲われて
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