第一部
第一章
第一話『人魚姫なんて大嫌い!』
[1/10]
[1]次 最後 [2]次話
一人の少年が町外れの高台にある公園から見滝原の街並みを見下ろしていた。
少年 「変わらないものだな…」
そう言うと、少年は空を見上げた。
?
いつも根城にしている公園のベンチの上で寝っ転がっていたキュゥべえは、突然に目を覚ますと頭を上げた。
キュゥべえ「何だろう?まるで何者かがこの世界に入って来たような…」
キュゥべえはベンチを飛び降りてどこかに走り出した。
?
幼い女の子と男の子が一緒に絵本を読んでいる。
女の子「何この話。全然面白くない、嫌い。」
女の子は不機嫌そうに言って、その人魚姫の絵本を投げた。
男の子「でも、そういうお話だから…」
ピピピ…
目覚まし時計のアラームで目を覚ますと、さやかは気怠そうに呟く。
さやか「またこの夢…」
さやかは重い足取りで学校へと向かっていた。そこへ親友の仁美がやって来る。
仁美 「おはようございます、さやか。なんだか元気がありませんね。」
さやか「ああ仁美…おはよう、まあね。」
仁美 「恭介君?」
さやか「それもあるけどさ…まあ、いろいろとね…」
仁美 「今日も学校終ったら行かれますの?」
さやか「うん、そのつもり。」
仁美 「また私もご一緒して宜しいかしら?」
さやか「うん、ありがと。でも仁美、無理に私に付き合ってくれなくてもいいんだよ。」
仁美 「別に…無理にではありませんよ…」
放課後、二人は恭介が入院している病室を訪れた。
さやか「よっ、恭介。元気にしてたか?」
恭介 「さやか、元気にしてたら入院なんてしてるかよ。」
仁美 「どうも恭介さん。また私もお邪魔させて頂きました。」
恭介 「あっどうも、仁美さん。すみませんね、さやかの為とはいえこんな怪我人に付き合わせちゃって。」
仁美 「いいえ…そういう訳では…」
さやか「おいおい恭介ぇ、なに仁美見て顔赤らめてんだよぉ。」
恭介 「ばっバカ…赤らめてなんかないだろ、変な事言うなよ。仁美さんに失礼だろ…」
三人は暫く談笑を続けた。しかし小一時間程すると、仁美が帰宅の意思を示した。
仁美 「御免なさい。私、今日はもう帰らなくては…」
さやか「そう、何か悪いね付き合わせちゃって。じゃあ私もそろそろ…」
仁美 「さやかはもう少し恭介さんといてあげて。それでは恭介さん、また今度。」
恭介 「すいませんね仁美さん。楽しかったです、ありがとう。ではまた是非に。」
そして仁美は会釈して帰って行った。
仁美がいなくなると恭介は暗くなった。
恭介 「なあ、さやか。もう来なくていいよ。」
さやか「何で…」
恭介 「僕みたいな終わった奴の相手なんて人生の無駄だよ。第一、君が来ると仁美さんまで付き合いで来させてしまうだろ。だから止めろよ、もう…」
[1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ