第一部
第一章
第一話『人魚姫なんて大嫌い!』
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今日は一人?」
さやか「うん…」
恭介 「そうか…」
暫しの静寂の後、さやかは鞄から数枚のCDを取り出し、ベッドの上に置いた。
さやか「恭介、これさあ…障害のある人が口で弾いたってものなんだけどさあ、聞いてみてよ。」
さやかは努めて平静を装って言った。これを聞いて恭介が何かを得て、その人生に張り合いのようなものを持ってくれればと思って…
恭介 「僕に口で弾けってか…」
恭介は自嘲気味に言った。
さやか「そうじゃないよ。ただこうして頑張ってる人もいるって…」
恭介 「ああ、そうだよな。僕は怠け者だよな…」
そして突如として怪我をした手を振り上げると、ベッドの上のCDを殴り付けた。
恭介 「そうだ!この手が怠け者なんだ!この手が!この手が!」
CDケースが割れ、恭介の拳が切れて血飛沫が飛んだ。
さやか「止めてーっ!」
さやかは慌てて恭介の腕に飛び付き、それを止めた。
二人はそのまま暫く泣いた。そして静かに恭介が話し始めた。
恭介 「それなら聞いたよ。怪我をしてすぐにね。誰が諦めてやるもんかってね。でも僕には分かるんだ、やっぱり究極的な場所には達していないって。その人がどんなに努力してその域に達したのかが分かるだけに、どんなに頑張ってもそこまでなんだって思ってしまうんだ。頂点を目指せたと自分でも思っているだけに、もうそこには行けないんだと知るとね…出来ないんだよ、何も…」
恭介は妙に優しい顔をしてさやかを見る。
恭介 「だからもういいんだよ、さやか。僕は終わった男さ。奇跡でも起こらない限り、僕には未来なんて無いんだよ。」
さやかは溢れる涙を拭いながら言った。
さやか「…あるよ。」
恭介 「何がさ…」
さやか「あるよ…奇跡も魔法も、あるんだよ!」
そしてさやかはまた、病室を飛び出して行った。
?
マミが自室で宿題を片付けていると、キュゥべえがやって来た。
キュゥべえ「やあ、マミ。事後承諾で悪いんだけど、この町に佐倉杏子を呼んだんだ。君の方に何か問題があるかな?」
マミにとって宿題なんて物は簡単なアンケートに答えているようなものだった。マミは手を止めもせず、振り向きもせずに答えた。
マミ 「いいえ、その事について私の方には何の問題も無いわ。でも、何でかしら?今は戦力的に何の問題も無いと思うのだけれど。」
キュゥべえ「うん。実はね、何者かがこの世界に侵入して来たみたいなんだけどね…」
マミは手を止め、キュゥべえの方に体を向けた。
マミ 「それって、この地球に異星人が侵略して来たとでも言うの?」
キュゥべえ「いや違うよ、そんなもんじゃないんだ。この宇宙に別の世界から異次元人がやって来たようだって事さ。」
マミ 「ええっ…」
キュゥべえ「それでね、どういう訳だかこの
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