第75話それでもキミは引き金を引けるか
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いた。
「それほどの強さがあって、あなたは何に怯えるの?」
「・・・こんなのは強さじゃない。長い時間剣を振り回したらこうなっちまっただけの、ただの技術だ」
「嘘、嘘よ。テクニックだけで、《ヘカートU》の弾を斬れるはずがない。あなたは知っているはず・・・どうすれば、その強さを身に付けられるの?私は、それを知るために・・・」
ただの技術、それだけでは女神を退けることなど出来るはずがない。ライリュウにはシノンに自分の強さをーーー過去の体験を教えることなど出来ないだろう。代わりにライリュウが教えられることはーーー
「もし・・・もしその銃の弾丸が、現実世界のプレイヤーをも本当に殺せるとしたら・・・そして殺さなければ自分が、あるいは誰か大切な人が殺されるとしたら・・・その状況で、それでもキミは引き金を引けるか?」
「ッ!?」
仮想世界の銃撃が現実世界の人間を殺せる力を持っていて、そしてその力を持つ存在が自分や大切な誰かを脅かすとしたらーーーその力を発揮することが出来るか、ということだった。
(この人は知っているの?私の過去を、あの出来事を・・・ううん、違う。もしかしたら、この人も・・・)
シノンはきっと、ライリュウと似た出来事を体験したのだろうか。ライリュウはシノンの身体を自分の身体に密着させて顔を近付け、《FJBXー04A》のビームの刀身を消す。
「オレにはもう出来ないよ。だからオレは強くなんかない。オレはあの時斬った三人・・・いや、四人の本当の名前も知らない。ただ目を瞑り、耳を塞いで、何もかも忘れようとしてきた。必死に傷痕を隠していただけの、ただの臆病者だ・・・」
ライリュウは誰かのために人を殺すことは出来ない。強くなんかない、ただ強がっていただけの臆病者だと言った。彼は能力的には強いだろうが、心はすぐに折れてしまいそうな程に弱かった。その彼の顔を見て、言葉を聞いたシノンは《グロック18》を地面に落としてしまった。そして左手をライリュウの顔に運ぼうとするが、ライリュウが首を横に振ってやめさせる。
「さて、それじゃあ決闘はオレの勝ちでいいよな?」
「え?あ、えーと・・・」
「なら降参してくれ。オレ、女を斬る趣味はないんだ・・・」
ライリュウの声かけでシノンはようやく我に返り、今自分が置かれている状況にやっと気付いた。現在自分の身体はライリュウと密着していて、彼と自分の腹部が完全にくっついていることに。彼は身体は完全に女性になってしまってるが、ライリュウは男だ。つまりーーー自分は男とくっついている。彼女にも当然羞恥心という物があり、赤面してライリュウを突き放す。
「次は・・・絶対負けない!明日の本大会、私と遭遇するまで生き残りなさい!!」
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