第75話それでもキミは引き金を引けるか
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シノンに撃たれれば満足してもらえるとでも考えているのだろうか。どちらにしろ、それがシノンには気に食わない。
「たかがバーチャルゲームの、たかが1マッチ。あんたがそう思うのは勝手よ!!でも・・・その価値観に私まで巻き込まないでよ!!!」
「ッ!!」
彼女は怒りのあまりに、涙を撒き散らしていた。その姿を見たライリュウは心を痛め、予選が始まる前に彼女と交わした会話を思い出す。彼は彼女とーーー
『でも、もし決勝で当たったら予選だからって・・・手は抜かないけどね』
『・・・当然そのつもりですよ。当たったら全力で戦いましょう』
約束したというのに。約束は必ず守る、それが自分のモットーだから。彼はその約束を破ろうとした。
「・・・ごめん、オレが間違ってた。たかがゲーム、たかが一勝負。でも、だからこそ全力を尽くさなきゃならない・・・そうでなければ、この世界で生きる意味も資格もない。オレはそれを知っていたはずなのに、それをずっと心に掲げてたはずなのに・・・」
ライリュウは自分のモットー、そして心に掲げていた物を知らぬ間に捨てようとしていた。それは自分という人間が死んだのと、さほど変わらない。だから彼はーーー
「シノン・・・オレに償う機会をくれないか?今からオレと勝負してくれ」
「今からって言っても・・・」
彼女との約束を守るために、自分という人間が信念のない生きた屍にならないために償う。今から勝負という言葉にシノンはあまり良い反応は見せなかった。そして彼女の目にはーーー彼女が彼に勧めたハンドガン、《FN FiveSeven》を左の腰に装着しているホルスターから抜き取るライリュウが見えた。シノンはすぐさま《ヘカートU》の銃口を向けるが、ライリュウは右掌を向けて止める。彼は《FN FiveSeven》の薬莢に付いたままの銃弾を出して手に取り、再びホルスターに《FN FiveSeven》を納める。
「そっちもまだ弾丸は残ってるよな?」
「・・・ええ、一発だけ」
「なら決闘スタイルでいこう」
決闘スタイルーーー西部劇にある、ある程度離れた所から互いに銃を向けて、先に相手を撃った方の勝ちというスタイルのことだ。
ライリュウが持ち出したルールはいたって単純な物だった。10m離れて、ライリュウが持つ弾丸を投げて、地面に落ちたらゲームスタート。シノンはライフルを、ライリュウは刀を構える。
「あのね・・・たった10mからなら予測線のアシストも全く役に立たないし、この《ヘカートU》の弾なら絶対に当たる。システム的に必中距離なのよ」
「・・・やってみなきゃ分からねぇさ」
システムの力が絶対という概念をライリュウは否定する。何故なら彼はーーーイレギュラーの塊なのだから。
ライリュウは手に持
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