第三十五話 母と娘
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れば両者、ただでは済まないだろう。
危険を感じたカリーヌ夫人はカトレアに警告を発した。
「カトレア! 気をしっかり持ちなさい! 少しづつ力を弱めて!」
凄まじいまでの暴風はカリーヌ夫人の仮面を剥ぎ取り、その素顔をさらした。
カトレアは魔法を最大出力で放つのはこれが初めてだった。そのせいか、徐々にカトレアは魔力のコントロールを失い制御不能に陥っていた。
「……うう!」
「しっかりしなさいカトレア!」
このままでは膨大な魔力を放出し続け精神切れを起こし気絶してしまう。最早、決闘どころではなかった。
「もう一度言うわ! 精神を集中させて!!」
カトレアに集中する様に伝えると、カトレアも目を瞑り集中し始めた。
暴風は依然2人の周りを暴れ周り、カトレアの身体は細かい木によって出来た小さな傷で一杯だった。
「……はぁ……はぁ……ふぅ」
「いいですかカトレア。私が合図したら、あの空気の塊を空に向かって放り上げるのです」
カトレアが息を整えたのを確認したカリーヌ夫人は、次にやるべき事を指示した。
「分かりました。お母様」
「よろしい。では行きますよ……3・2・1!」
『ハッ!』
2人は同時に杖を上げると、間にあった空気の塊は空に向かって猛スピードで昇っていった。
空に昇った空気の塊は、高度1万メイル上空で圧縮された力を解放した。
ドォォォォン!
凄まじい爆音が夜の空に轟く。衝撃波が地上に届くほどの威力だった。もし、地上付近で爆発させていたら大惨事になっれいただろう。
空気の塊が空へと昇っていった事で竜巻も弱まりやがて消えていき、精根尽き果てたカトレアはその場に倒れた。
☆ ☆ ☆
カトレアらが戦った周りは木々が軒並み倒れ辺り一面更地の様な状態だった。
その更地では戦闘は終わり再び静寂が訪れた。カリーヌ夫人は急ぎ倒れたカトレアの下へ寄って抱き起こした。
カリーヌ夫人はカトレアのピンクブロンドの髪を手櫛ですいてやると、
「…・・・マクシミリアンさま」
とむず痒そうに寝言を言った。
夢の中までマクシミリアンの事を想っているカトレアに母親らしい微笑を向けた。
だが、その微笑みは一瞬の事。
再び、仏頂面に戻った。カリーヌ夫人は穴から顔を出してこちらの様子を伺っている1人の男に目を向けた。
「そこのお前! …・・・お前達がカトレアに妙な事を吹き込んだのか?」
絶対零度の声色で誘拐犯にゆっくりと近づく。
「え? え?」
誘拐
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