106話 冬国
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れて行動しないようにしよう。今日はみんな一緒に動こう、みんないいよね?」
エルトの言葉に神妙に頷いた私たちは五人でぞろぞろととりあえず酒場という情報の宝庫に向かうことにした。ぐるぐる回っているらしい行商さんの二の舞にはなりたくないから手にしっかり地図を握りしめて。彼に幸あらんことを祈る。
……冬国だし、お酒であったまりたい人も多いはずだし、昼間だけど人がいますように。
・・・・
「おっと……留守とは」
エルトの三度に渡るノックに返事が無く、結局勝手に入ったものの誰もいない、と。これはどうしようもないか。でも渡さないわけにもいかないよな。だが我らがお人好しのリーダーエルトは近くの男から彼の行っていそうなところを突き止めた。
「この街からちょっと離れたところに薬草園があるらしいよ。そこに行ってみようか」
薬師ならそりゃ薬草を育てることもあるか。納得して俺達はまた外に向かう。朝からハイテンションなトウカは外に出る前から戦闘に浮かれているから今のうちからスカラを重ねがけしておく。
背の関係上見上げながら終わるのを待っている様子は待てをされた子犬かなにかにも見えるし、大きな目でまっすぐ見てくるのは可愛らしい以外の感想はないしで平常心という呪文まで唱えることになっちまったが。
「……終わりだ。怪我はなるべくしないように」
「うん、分かってるって!あ、これあげる。いつもありがとうね!」
真っ先に外に飛び出しトロデ王に頭を下げに行く様子は見慣れたもので、それはまぁいい。両手を重ねられ、握らされたものがどちらかというと気になる。近くで見ていたゼシカがこちらをのぞき込む中恐る恐る開いてみる。そしてそこにあったのは。
「エルフの飲み薬……」
「……ま、頑張りなさい」
ぽんと肩を叩かれ、ぐっと、それを握る。最初は魔法の聖水だった、それが今はエルフの飲み薬だ。信頼は築けたんじゃない、か?そうも考えることができる。
「単に魔力が増えたからじゃないかしら……」
ゼシカの言葉は聞こえない。聞こえないからな。
とりあえず持ち物に入れておくがほかの持ち物を魔法の聖水にすることでお守り扱いに……待て、ダンジョンに入るなら今までの経験上これも飲み尽くすことになるんだが……。
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