第十二話 数字
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二月の夜。
データで組まれた冷たい大気と共に、冷気の如くやってくる。
彼は狩場に夜にしか現れない。
その理由は非常に単純明快で。
昼間は人が多いというのと、単純に人目を避けたいからだ。
潔癖症の如く人目を嫌い、絶対的に知名度を上がることを避ける。
しかしその実力は非常に高く、同時にあまりにも異端すぎた。
だが、アインクラッドでの彼の知名度は非常に低い。
一般プレイヤーの皮を被ったザサーダやクーレイトと違い。
彼のポインターは常にオレンジに染まっている。
見れば一発でそういう人種ということがわかるというにも関わらず。
ウスラのように突発的に現れ、その場をめちゃくちゃにするにも関わらず。
HeavensDoorの如く、目撃者の徹底的にPKし、目撃情報を下げるというやり方を取っていた。
そのため、彼のPK成功率は、実に100%を誇る。
まるで抜き身の刃物のような危険さと、鋭さを持つにも関わらず。
彼自身の性格は、まるで春の風のように穏やかで。
同時に、何処までも澄み渡る青空のように、一点の曇りもなく、光のように真っ直ぐだった。
幼少期の夢は勇者で、中学、高校では正義の象徴である、警察官を目指していた。
そして今現在、彼の職業は、海上自衛隊である。
もちろん、彼がこのデスゲームに参加する前の職業であるが……。
しかし、今現在でもその彼の志は変っていない。
では何故、PKという愚行に及んでいるのか。
その行動理念はただ一つ。
デスゲームを強制終了させるためである。
幾らデスゲームと言えど、全てのプレイヤーが死ねばゲームの続行は不可能。
開発者、管理会社も、流石にそんな事態に陥れば全プレイヤーを一度開放せざるを得ない。
本当に100層で終わるのかわからないようなデスゲームを、100層までいつまでかかるかわからないデスゲームを。
クリアして、正攻法で、終了させるよりも、遥かに確実だ。
そんな思考が、彼の頭の中にあった。
当然、それは死んだ人間がすぐにナーヴギアに頭を焼かれるのではなく、後に一斉に焼く、という理論に基づいているが。
しかし、そんな考えを言ったところで、大抵の人間は死ぬことを拒否するし、下手をすれば狂人扱い。
そもそも1万人近い人間がいるのだ。
全員殺すことは一晩ではいかない。
何日もかけて、ゆっくり殺し続けなければいけない。
もちろん、そんな悪役になることを望む人間はいないし、いずれ極度の罪悪感で精神に異常を起こす怒れもある。
そのため、彼は真っ直ぐすぎるが故に、自ら悪役を買って出た。
自分が殺し続ければ、いずれ皆は助かる。
つまり自分が必要悪になることで、実行役になることで、誰も
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