第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#7
SILVER CHARIOTU 〜King Crimson〜
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れながら、
それでも尚戦おうとするソノ気概は称賛に値するが、
貴公ほどの遣い手。コレ以上長引かせて苦しみを与えるのもまた不憫。
このオレが介錯仕ろう!!」
そう言って青年は、炎の燃焼圏内からようやく抜け出そうとしていた少女の影に、
微塵の躊躇もなく白銀の斬閃を繰り出す。
瞬く間に上下左右ありとあらゆる方向から斬り裂かれ、
空間に5つに分かれて崩れ落ちる少女の影。
「――!?」
だが、次の刹那。
確実に止めを刺した筈のその青年の方が、
手の先から伝わる違和感に両目を見開く。
「な、何だ!? 今の奇妙な手応えは!!
まるで紙人形でも斬ったかのように手応えがない!!」
その青年の驚愕と同時に彼の背後死角の位置から、
静かに到来する少女の声。
「炎の揺らめきに、その眼が眩んだか……?」
「!?」
己の背後に、先刻確かに自分の放った炎で灼かれた筈の少女が、
纏った硬質な黒衣にも焼け焦げ一つない清冽なる姿で、
その長く美しい焔髪を紅蓮の火の粉と共に熱風へ舞い踊らせていた。
「……!」
無防備な、背後の死角の位置を取られる。
コレは、実力の拮抗した強者同士の戦いなら、その決着を意味するのに十分な光景。
云わば、己の首筋に剥き出しの短刀を宛われているに等しき状況。
互いにそのコトが解っているのか、青年は何も言わず、否、言えず、
少女の姿をした紅世の王は、静かに言葉を続ける。
「貴様が先刻斬ったのは、我が己の存在の裡で生み出せし “陽炎”
いわば空身の如きモノ。
貴様が我の焔儀を制した時点で、もう既に生み出し始めていた。
そして貴様が我の炎を弾き返した刹那、
その第一波が我に触れ得た瞬間にソレと入れ替わった。
後は燐子と同じように “陽炎” を自在法で操り、
虚を実と貴様に想い込ませるのみ」
「……ッ!」
己の背後で、静かに響き渡る少女の声。
「己が異能に脚を掬われたのは、貴様の方だったようだな?
さて、今 生への別れはすんだか?」
「……ッ!」
騎士らしく潔く散るという選択肢も在る。
しかし、ただでヤられるのは誇りが赦さない。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッ!!!!
「銀 の 戦 車ッッッッッ!!!!!』 」
乾坤一擲の想いで、己がスタンド名をアラストールに刻み付けるにように叫び、
白銀の一閃を背後の少女に振り下ろすJ・P・ポルナレフ。
しかし、ソレよりも一瞬速く。
「その意気や良し……」
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