第73話敗北を告げる弾丸の味
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い」
「・・・大体分かったよ。ありがとう」
「決勝まで来るのにあれだけ色々レクチャーさせたんだから、最後に一つ教えておきたい」
最後、という言葉に相応しいことなのか。それとも勝ち上がって決勝まで来いと言うつもりなのか。その答えはどちらでもなくーーー
「敗北を告げる弾丸の味」
勝つのは私だ、そう言いたいのだろうーーーでも、オレだって負けるつもりはない。オレは強い奴との戦いにはヒートアップするクチなんでね。
「楽しみにしてるよ。でも、シノンの方は大丈夫なのか?」
「あんたにシノンなんて呼ばれる覚えはないわ。予選落ちなんかしたら引退する。今度こそ・・・」
その発言に続く言葉はまるでーーー
「今度こそ・・・
強い奴らを全員殺してやる」
オレが追っている死銃のこだわりらしき概念と同じだった。強い奴らを全員殺すーーーそう言い放ち、黒い笑みを浮かべるシノンに対して、オレの背筋が少し凍った。そしてシノンはオレに顔を向け、システムウィンドウのプロフィール画面を可視モードにしてオレに見せてきた。
「こうして話すのは最後だろうから、改めて名乗っておくわ。シノン・・・それが、いつかあなたを倒す女の名よ」
「・・・改めまして、ライリュウだ。よろしく」
オレは自分を奮い起たせ、改めて互いに自己紹介を交わし握手を求める。でもシノンはそっぽ向いてしまったので、オレは思わず苦笑いを浮かべてしまう。
「やあ、遅かったねシノン。遅刻するんじゃないかと思って心配したよ」
「あ・・・こんにちは、シュピーゲル。ちょっと予想外の用事で時間取られちゃって」
突然この場に、シノンの名を呼ぶ人物が現れた。肘より少し長めの迷彩柄の服の上に鉄製の胸当てを装備した、グレーの長髪を後ろで一本に束ねた男性プレイヤー・シュピーゲル。どうやらシノンの友達みたいだな。シノンは席を奥に詰めて、シュピーゲルの座るスペースを空ける。
「あれ、でも・・・あなたは出場しないんじゃなかった?」
「いやー・・・迷惑かもと思ったんだけど、シノンの応援に来たんだ。ここなら試合も大画面で中継されるしさ」
そうか、ここにいる奴みんながBoB出場者って訳じゃないのか。こうして応援に来るプレイヤーもいれば、大画面の試合の中継を見に来るプレイヤーもいる。ここは普段は公共のスペースってことなんだな。
「ところで、予想外の用事って?」
「ああ、ちょっと・・・そこの人をここまで案内したりと」
「う゛っ・・・どうも、そこの人です」
急にオレに振りやがったーーーでも当然っちゃあ当然か?遅刻ギリギリになった原因オレだし。
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