第百四十一話 ケスラー艦隊
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、実際はテレーゼの策略であった。
「叛乱軍が、あの様な何も無いヴァンフリート星域に前線基地を作る理由は、イゼルローン要塞攻撃の後方拠点として利用するためだろうと言うのが、軍務省、統帥本部、宇宙艦隊総司令本部の統一見解だ」
「その旨を陛下にお伝えしたところ、意外な事をおっしゃったのだ」
「それは?」
「叛乱軍がイゼルローンを攻めるのであれば、その陸戦兵力の先頭はローゼンリッターで有ろうと」
「確かに、叛乱軍の此までのパターンから言えば、そうなります」
「其処で、シュタインホフがクロプシュトックの件も有り、陛下に基地ごとローゼンリッターを消し去るべしと言上したのだが」
「如何為さったのですか?」
「陛下が、基地ごと降伏させよと命じたのだ」
その言葉に、クロプシュトック事件の事情を知るケスラーにしてみれば、普通であろうが、事情を知らない三長官達には危険きわまりない行為と思われただろうと。
「それは、中々難しいのでは?」
「そうだ、それを聞いた、エッシェンバッハが『恐れながら陛下それは、ローゼンリッターを公開処刑にすると言うことでしょうか?』と聞いたのだがな」
確かにそう思うだろうと、ケスラーは考えた。
「しかし、陛下はおっしゃったのだ『怨むべきはあの様な卑劣な行為を命じた叛乱軍の首魁であり、ローゼンリッターは利用されているだけに過ぎない哀れな赤子達じゃ。例えば、そち達が暴漢に襲われナイフで刺されそうになったとして、そのナイフを罰するのか?』と、此を聞いた我々は陛下の御心に何としても答えようと言うことになったのだ」
なるほどと、ケスラーも感じる。陛下はローゼンリッターを丸ごと引き抜く気だと、そしてこんな事を考えつくのが、テレーゼで有ることも判り、段々とシナリオが読めてきた。
「元帥閣下、陛下の思し召しは尤もですが、小官が何故艦隊を?」
「それなのだが、我が軍がヴァンフリート星域へ向かえば、間違い無くフェザーンが叛徒共に知らせるだろう。その場合叛乱軍も迎撃に来るはずだ。その際正規艦隊を動かした場合、叛乱軍はそれ以上の艦隊をくり出してくるだろう。無論エッシェンバッハも言ったが、我が軍が叛乱軍に劣ることはないが、問題は、ヴァンフリート星域基地の攻撃を悟らせない事が必要になった訳だ」
「なるほど、正規艦隊であれば、移動等も逐次書類決裁が必要になると」
「そう言う訳だ、其処で卿には、独立艦隊を纏めた15000隻を指揮して貰いたい」
さしものケスラーもエーレンベルク元帥の言葉に驚きを隠せない。
「小官が、15000隻をですか」
「そうだ、ヴァンフリート星域にある叛乱軍の基地を探し、それを降伏させる。無論敵の妨害があるやも知れん、叛乱軍艦隊はエッシェンバッハが対処するが、別働隊が居ないとも限らない為
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