第30話
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込んだが
「――だけど、頭のどこかでとっくにわかってはいたんだ。結局それは、ただの”八つ当たり”だったんじゃないかって。」
「え…………」
「………………」
静かな口調で答えたマキアスの答えを聞き、それぞれ驚きの表情でマキアスを見つめた。
「貴族や平民に関係なく、結局は”その人”なんだろう。相手の男は、誠実ではあったが愛する人を守りきれるほど強くなかっただけだろうし……伯爵家も”自分達の利益”をただ優先しただけなんだと思う。平民だろうと悪人は悪人だし、貴族にも尊敬できる人間はいる。ユーシスのヤツはともかく……リィン、ラウラ―――君達にはそれを教えられてきたからな。」
「マキアス……」
「…………」
「父さんがどう思ってるのかは僕にもわからないが……これが現時点での僕自身の偽らざる気持ちだ。」
「そうか……そなたに感謝を。」
「――ありがとう。話してくれて。」
「ふふ……」
「えへへ………うーん、でもマキアスも素直じゃないよねぇ。ここまで来たらユーシスだってちゃんと認めてあげればいいのに。」
マキアスに感謝しているリィンとラウラの様子をフィーと共に微笑ましそうに見守っていたエリオットは呆れた表情で指摘し
「じょ、冗談じゃない!あの尊大で傲慢なヤツを断じて認められるものかっ!いつもいつも人のことをガリ勉だの余裕がないだの……!」
エリオットの指摘に対して大声を上げて反論したマキアスはユーシスの姿を思い浮かべて厳しい表情をした。
「そ、そこまでは言ってないと思うけど……それにほら、ユーシスってある意味天然っていうかそんなに悪気はないと思うし。」
「ええい、それが一番、腹が立つんじゃないかっ!!」
「やれやれ……」
「ふふ……」
そしてエリオットの指摘に再び怒鳴ったマキアスの様子をフィーとラウラは微笑ましく見守り
「……コーヒーと一緒にいい時間が過ごせたな。」
「そうね……………」
リィンの言葉に頷いたレンは考え込んでいた。
「レン、どうかしたのか?」
考え込んでいるレンの様子が気になったリィンは不思議そうな表情でレンに訊ね
「ええ……今のマキアスお兄さんの話でちょっと気になる事があってね。」
「へ……一体何が気になったんだ?」
「―――マキアスお兄さん。辛い事を聞くようだけど、先程話に出て来た亡くなったお姉さんの遺体は見つかったのかしら?」
「レ、レン!?い、一体何を……」
レンのマキアスへの質問を聞いたエリオットは驚き
「………いや……結局見つからなかったよ。姉さんが投身自殺をした日はちょうど大雨の日でね……もしかしたら雨で増水した影響で河の流れが激しくなって
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