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おぢばにおかえり
第三十三話 明治の中でその十三

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「いや、先輩の言う通りです」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「こうした場所を見るのもやっぱり勉強よね」
 世の中のとをです、私は阿波野君にこうも言いました。
「そうなるわよね」
「そうですね、こうしたことも見るのも」
「勉強でしょ」
「はい、じゃあ時間の許す限り一緒に見ていきます?」
「そうね、それじゃあね」
 私も頷いてでした。
 二人で一緒に映画村を回っていきました、この日はそのまま集合時間まで一緒にいました。この時も言われましたけれど。
 おぢばに帰って寮に戻るとです、他のクラスの娘からも言われました。
「ちっちもねえ」
「十八だしね」
「けれど年下ってね」
「意外ね」
「だからそういうのじゃないの」
 私はむっとして返しました。
「彼とは普通の先輩後輩よ」
「誰でもそう言うのよね」
「そう言って隠すのよね」
「けれど実は」
「それが常よね」
「常とかじゃないわよ」
 私はむっとした顔のまま返しました。
「全く、何でそう言うのよ」
「だってね
「もう寮で噂になってるわよ」
「ちっちが遂にってね」
「このままお婿さんにかもって」
「何でそうなるのよ」
 お婿さんという言葉に脊髄的に反応しました。
「私が阿波野君を!?」
「だってちっち教会の娘さんじゃない」
「しかも三人姉妹の長女さんでしょ」
「教会継がないといけないじゃない」 
 だからというのです。
「それじゃあお婿さん迎えないと」
「その人が教会長さんになってね」
「ちっちが奥さん」
「そうならないと駄目でしょ」
「確かに私が教会継ぐことになってるけれど」
 このことは否定しません、何しろ三人姉妹の長女だからです。皆が言う通りこのことは紛れもない事実です。
「けれどね」
「それでもっていうのね」
「ちっちが」
「そうよ、阿波野君をお婿さんにって」
 冗談でないといった口調で返しました。
「なるのよ」
「いや、本当にね」
「ちっちのお家のことがあるから」
「だからって思ったんだけれど」
「ちっちずっと彼氏いないっていうし」
「彼氏とか」
 私は自分の考えを言いました。
「結婚する人じゃないと」
「今時そんな考えもね」
「ないわよね」
 皆は私の言葉を聞いて少し呆れた感じになりました、そのうえでお話します。
「彼氏イコール旦那様って」
「古いわよ」
「だってね」
 それこそと返した私でした。
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