第二十話 小さくなる身体その十五
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優花は岡島にだ、こう言った。
「実感しました」
「移動がね」
「厄介ですね」
「坂道ばかりだから、また言うけれど」
「だからですね」
「そうした場所だよ」
「本当にそうですね」
岡島に頷きつつ実感するのだった。
そしてだ、優花はこうも言った。
「長崎もバリアフリーを充実させないといけないですね」
「今以上にだね」
「そんなこと言われてます?」
「療養所の中でそうした話はよくするよ」
「お医者さん、看護士さん達の間で」
「そう、この街の状況を考えるとね」
どうしてもというのだ。
「充実させないといけないってね」
「やっぱりそうですね」
「そう、そうした人の数が少なくても」
足腰の悪い人間のというのだ。
「そうした人のことも考えていかないといけないから」
「こうしたことについては」
「社会的に困っている人のことも考える」
所謂弱者と言うのだろうか、こう言えば語弊があるかも知れないが。
「そうした人のことも考えるのが医学だからね」
「困っている人を助けるものが医学ですか」
「そう、実際にね」
そうなるとだ、岡島はこうも答えた。
「そうしたものだよ」
「やっぱりそうですか」
「うん、じゃあ中に入ろうか」
グラバー園の中を見つつ言う。
「そうしようね」
「今から」
「是非ね。もう中も観たことがあるよね」
「あります」
実際にという返事だった。
「もう忘れてるところもありますけれど」
「それでも行ったことがあるならガイドは不要かな」
「いえ、それは」
「そうもいかないかな」
「お願いします」
「それじゃあね、案内させてもらうよ」
岡島は優花に微笑んで応えた、そしてだった。
彼をグラバー園の中に案内した、その中も観るのだった。外には美しい景色があり中には歴史があった。それがグラバー園だった。
第二十話 完
2016・5・4
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